エピローグ

サンチェス王国には至宝と呼ばれているエレノア姫が居りました。エレノア姫には実の両親ではない両親が居ります。王様と王妃様です。エレノア姫は王様と王妃様の二人が国を必死で守ってきた姿を見て育ってきました。ですから、エレノア姫は、それは、それは慈愛深く、そして聡明な姫へと成長しました。


そして年頃になった姫は隣国のオーウェン王国へ嫁ぐことになりました。


王様と王妃様は同盟国のオーウェン王国へ娘の結婚式に向かいました。馬車の中で、王様も王妃様も娘が大変な目に合わないか、娘が幸せになれるのかと心配しておりました。


ところが国境を越えてオーウェン王国へ入れば、民衆はその王家の馬車を、歓声を上げて祝福します。民衆は苦労しながら国を守ったサンチェス王国の王族を歓迎しました。


そして、出迎えてくれたオーウェン王国の王太子とエレノア姫が緊張しつつも、打ち解けていく様子に王様と王妃様は安堵しました。

それは、オーウェン王国の王様と王妃様も一緒でした。子を持つ親はやはり、心配してしまうものなのです。


エレノア姫はオーウェン王国の王太子妃となりました。


そのお披露目では、最初のダンスを王太子とエレノア姫が踊ります。

二曲目では、サンチェス王国の王様と王妃様がオーウェン王国の王様と王妃様が踊り出します。


三組の王族が踊るこのセカンドダンスは平和の象徴として語り継がれる偉業となりました。


「ねえ『魔法の鏡』さん?」


サンチェス王国の王妃様は悪戯っぽく笑います。


「世界で一番、綺麗なのは誰?」


その質問にサンチェス王国の王様は小さく笑うのです。


「どんな皺くちゃのお婆さんになっても、君だよ、エミリア。」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

継母ですが、娘には毒りんごよりも美味しいアップルパイを食べさせたい! まるちーるだ @maruchi_ruba

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画