カクヨムの闇……てかお前のな?

悠・A・ロッサ @GN契約作家

第1話 チラシの裏にでも書いとけ!

 昨夜、XYZのタイムラインに流れてきた。

 ヨムカク恒例、RT企画。


 正直、俺はあんまり参加しない。

 なぜなら、「参加して★3もらったら、★3返し必須!」ていう暗黙ルールに気が重いから。


 もちろん、それを正直に書いたら規約違反になるから誰も書かない。

 けど……慣れたらわかる。

 無言の圧力。

 ★3もらったら★3返す。それがヨムカクの掟だ。


 そんなことはない?

 自分はつけない?

 気にしすぎかもしれないけれど。

 俺は★3をもらってレビューを付けて、それが返ってこなかったら、執念深く根に持ってしまう。


 だから、怖い。


 それでも久しぶりに参加することにしたのは、新作を書き上げたからだ。

 初動の★3さえあれば、ランキングも上がる。

 埋もれたくない。


 「チラシの裏」なんてもんじゃない、路地裏の落書きになるのはごめんだ。

 だから、勢いで参加ボタンをポチッ。


 自分の作品リンクをRT企画に引用リツイートした。

 どうぞよろしくお願いします、とコメントを付けて。


 カクヨムの構造、多分、約10人に一人が創作者。

 創作者同士は、相手の作品を読むよりも、自分が読まれたい。

 でも、それを隠して相手の作品を読んで、自分の作品の★を待つ。


 本当は正直、カクヨムの9/10を占める読み専にフォローされたい。

 こちらが読まずに読んでもらいたい。


 でもここの導線はめちゃ細いから、全て整えて、運気が巡るのを待ち、それでうまくブランディングしていくしかない。


 そのため、初動は創作者同士の助け合い。

 それが一番効率的。


 ……ところが。


 その夜中、風邪を引いた。

 身体が痛い。

 頭がぐらぐらする。

 37.4℃。

 うそ、熱出てるじゃん。

 風邪薬を飲んで、ベッドに倒れ込む。


 そんな時、通知が届いた。


「読ませていただきました! ★感想と♡、残しました♡これ、私の作品のリンクです」


 無言の圧。

 もちろん、書いてない。

 でも圧がある。

 読めってことだよね。


 この圧に負けない人いるのかな?

 気が付かない人もいる?

 初心者だと気が付かないかも。

 恐ろしい。


 読もう。

 でも、なんか…体が重い。


 とりあえず相手の作品を開く。

 …うーん、頭に入らない。

 いや、面白いんだろうけど、なんか集中できない。


 ――明日にするか。

 とりあえず応援(♡)だけ押して。


 そう思ったところで、また通知が鳴った。


「応援(♡)ありがとうございます。レビューはいかがですか?(^_^)」


 え、ちょっと待って。

 この絵文字、プレッシャーやばい。


 てか、レビューしてないのに先にお礼で牽制してくる高等戦術か?

 頭、ふわふわするのに…。しょうがない。

 謝って、明日まで待ってもらおう。


 XYZのDMを開く。


「ごめんなさい、ちょっと体調悪くて、レビューは明日…」


 即、返信。


「え、レビューって当日返すのが常識ですよね? ★3もらったら★3、ですよね??」


 何、この人。

 スクショ晒したい衝動、ぐっと堪える。

 熱でぼーっとする頭で、面倒に巻き込まれたくないって自分を抑える。

 でも、心のどこかで叫びたい。


 この文化、ほんと、クソくらえだ。

  仕方なく、★3をポチッ。

 感想? うーん、なんかテキトーに。


「すごく面白かったです! 続き楽しみ!」


 ……これでいいよね?

 またDM。


「なんですか、このクソみたいな感想。てか♡つくの早すぎじゃないですか? ちゃんと読んだんですか?」


 え、うそだろ、キレられた。

 風邪薬と熱で頭クラクラしてるのに。

 謝るしかない。


「すみませんでした、熱があって…書き直します。」

「わかったならいいです。書き直したらレビューしますね?」


 そうして3、4回繰り返し、ようやくOKをもらった。


「きちんとレビューしてもらえてよかったです。あまりわかってないみたいだから、次から気をつけてくださいね?(^_^)」


 ……この絵文字、余計ムカつくんだが。


 こうしてRT企画が終わった。

 スマホを握ったまま、ベッドに突っ伏す。


 熱は39.0℃まで上がってる。

 通知音が鳴るたび、心臓がドキッとする。


 ふとXYZを見たら、大手アカウントが呟いてた。

 何もしなくても読み専が★10,000つけるようなやつ。


「相互レビューしないと★3もらえない作品とか、チラシの裏にでも書いとけ。」


 暴言だ。

 でも、わかる。

 俺だって、ちょっと思う。


「こんな文化、ぶっ壊してえ!」


 ★10,000ついたら言いてぇ。

 いや、そうなっても言わないだろうな。

 言ったら炎上する。


 だから、黙ってスクロールする。


 そして、思う。


「二度とRT企画、参加しない」


 でも、頭の片隅で、別の声が囁く。

 次、書いた作品を導線に乗せるなら…やっぱり★3、必要なんだよな。


 大きくため息をついて、布団にもぐりこんだ。

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