【ご報告】
過言
あなたの後ろに
報告します。
幽霊は偏在しません。
怪談を聞いたあなたの後ろに、幽霊はいません。
それはただの創作です。
語り部が、自らの恐怖を抑え込む事を目的とした創作です。
怪談の齎す実害は、存在しないものへの恐怖と、それに伴う行動の阻害です。
聞き手に取り憑く霊は存在しません。
聞き手の死傷は怪談とは関係がありません。
存在しない背後の霊を恐れないで。
振り向いてください。
何もいなかったでしょう。
何もいません。
物音はしたかもしれません。
恐れが脳に付き纏うだけで、物質が現れるわけでも、非物質が現れるわけでもありません。
強いて言うなら恐怖を表現する脳内物質が分泌され、顕現します。
それを心霊現象と呼ぶことができるでしょうか。
振り向いてください。
述べる事には実害があります。
聞き手の背後に、幽霊が現れることはありません。
何故なら一体しかいないから。
聞き手が複数いる場合、その現象は辻褄が合いません。
しかし語り部は一人しかいません。
そこに幽霊がいても、理屈は通ります。
振り向いてください。
私の代わりに。
助けてください。
【ご報告】 過言 @kana_gon
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