【終章 ドメイオ・ナー・ダグ(宿命、そして殺戮)】
二人の進む道
「歴史が動き出したのね」
一部始終を見ていた少女は
―― そうなのですか? お姉様。 ――
光でも数億秒も掛かる遠い彼方から、彼等一族でも最年少の弟分が訊ねた。弟分は
しかし彼らの姿は仮の物であり、本当の姿は人類や
「ええそうよ。でも生まれたばかりでまだ
教え諭すように弟分にそう答えた少女、モリガンは膝を抱えて座った姿勢から体を伸ばし、湖の上で寝転がった。水面からわずか二センチほど浮いたまま、大気の底から宇宙を眺める。夜空は、この惑星の磁気が生み出した輝きによって彩られている。いわゆるオーロラである。
ここは
「わたくしたちは常に歴史の傍観者に過ぎません。ただ見守るだけです。だからせめて
彼女がこの惑星にやってきた、まだ氷河期だった一万九千年前は、かつてこの欧州で繁栄したネアンデルタール人は既に滅び、
彼女は常にこっそりとしか人々と関わらなかった。ある勤勉な妻が疲れてうたた寝をしている時は、密かに料理や裁縫を完成させてあげた。またある男が森で遭難した時は、一瞬で仮の家を造ってそこに住んでいる風を装って男に食事とベッドを提供し、寝ている間に男を人里の近くまで運び出した。
彼女が人類に披露した魔法は常にささやかなもので、人々を少し驚かせたり、少し幸福を与える程度のものだった。にも
モリガンは生きることに疲れていた。
だから待ち焦がれていた。
少年と少女は血塗られた
だから最後には二人に
しかしながらモリガンは、それでも伊佐那 潤の来訪を、彼の犯す
真実のエイナローセ 音寝 あきら(おとねり あきら) @otoneriakira
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