―― スノワー(英雄) ――
数字は『
「見ろよ、後
ヴェロンズィが言った。
また一機撃墜される。
「
誰かが数字を読み上げた。
「
今度はコーリンだ。
「
いつの間にか、合唱になった。
「
「
敵が撃墜され、数字が変わるたびに、全員で読んでいく。
リアサターセとスフォーセネ、そしてプミアィエニが部屋に現れたことを誰も気に留めない。
数字はまだ下がる。敵は更に減る。
決着は近い。
「
「
この光景をプミアィエニは、ただ眺めていた。
彼女はもはや
「
「
「
そして、
もう
数字は最後の変化を遂げる。
「……
真実になるはずがなかった光景に、起こるはずがなかった結果に、誰もが言葉を失ったその場で、ようやくリプがその数字を読んだ。
これは現実なのか⁉
敵がいなくなった
これは【
『
……
それまでの興奮とは打って変わって広間は静寂に包まれる。
「俺たち、本当に勝ったんだよな?」
シュピヤーがおずおずと切り出した。ジワジワと近付き、そして現実になった『勝利』。彼等にはまだ信じ
「勝ったんだよ」
「そうだ。勝利を手に入れたんだ!」
仲間同士で勝利を確かめ合う。そして『勝利』の実感が人から人へと伝播していく。
ようやく勝利を実感した
「勝ったぞ!」
「俺たちは
広間は興奮と騒乱に包まれた。
飛び上がる者、抱き合う者、誰もがそれぞれの形で勝利を喜ぶ。
「リアサターセ! スフォーセネとプミアィエニも!」
三人に気付いたヴェロンズィが声を掛ける。
「見てただろ! 俺たちが勝っ、」
言い掛けて、その視線がプミアィエニに向けられる。
「プミアィエニ⁉ お前、何で
「彼女が功労者なのよ」
スフォーセネの言葉が全ての答えだ。
喧騒が徐々に消えていく。
いつの間にか、誰もがプミアィエニに注目していた。
それは、あるはずのなかった『勝利』と同じくらい、信じ
「嘘だろ⁉」
「でも本当だっていうなら、他の仲間はどこだ? 何者なんだ?」
「彼女が一人で全てを操作していたよ」
そんなリアサターセの説明は到底信じられるものではなかった。
「みんなの気持ちは分かるわ。あたしたちマサルーセイ人は
スフォーセネの言葉を引き継いでリアサターセが続ける。
「みんなが『信じられない』と思っているのは『これほどの実力者』だろう? だけど結果がある以上、存在するのは確かだ。だったら、それが彼女だとしても不思議ではない」
「でも、プミアィエニは確か
ここにいる
しかしリアサターセがその意見を否定した。
「プミアィエニは
それが事実であるという実感が徐々に仲間たちに浸透していく。その場の全員がプミアィエニを見ている。彼等の視線には強い期待が込められていた。全員の視線を受けたプミアィエニがここで口を開いた。
「これからわたしが闘うから。だからみんなは
もう誰も死なせない。
それがプミアィエニを動かした理由、彼女の強い願いだった。
もちろん彼女は不死身でもなければ無敵でさえなかった。現に伊佐那 潤を死亡させた地球での戦いでは負傷している。
それでも、こう言わないとまた犠牲者が出る。だからプミアィエニは全ての
≪
『これでいいんだ』と
プミアィエニの言葉に仲間たちは
「プミアィエニ、お前って本当は凄い奴だったんだな! こんなこと、予想もしなかったぜ」
ギードが興奮してまくし立てる。
「ミア、凄い凄い!」
リプが大はしゃぎでプミアィエニの手を取って
「
「そうだ。彼女はまさしく我々の
シュピヤーの問いにリアサターセが答える。そして声を大きくして全員に告げた。
「みんな、今日は祝おうではないか。
我々の勝利と、
そして
広間は
今ここに、『
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