外伝 猫の刻
はい。最後までご愛読頂き、ありがとうございます。
如何でしたでしょうか?結末自体に変更はありませんが、何でもかんでも詰め込んでしまったのでああいうストーリーになるとは……書いた本人が一番驚いてます。
この章では、後書きと称してストーリーの構成上、イロイロ書ききれなかった設定とか裏話とか残ってしまったものを暴露していこうと思います!
というわけでメイキングスタートです。以下、ネタバレ注意!
最初は、ブックタイトルについて話していきたいと思います。
書いてる間に、何度か変わりました。
プロットを漠然と考えて始めたときは、『仮初めのヒメ』だったんです。この物語の主人公であるクロワ王女は誰にもその存在を知られてはいけないこと、必ず滅びてしまう結末を迎えることは初期設定でしたので、「一時的・夢人」を表しそうと思いまして。
けれど、執筆していくにつれて違和感を感じるようになりました。こんなにも強いキャラクターであるのに、弱弱しさの漂うタイトルだなと。そこで、『孤高のヒメ』に変えることにしたわけです。今の原型ですね。「孤独」が前面に出てしまいましたが。
後ろに『呪われしクニ』が追加になったのは、勿論五話を書いている時ですね。稚拙といえば稚拙ですが、分かりやすいくらい分かりやすくストーリーを表せられるのではないかと。呪いは主人公自身、でもありますし強いキャラクターにマッチしたかなと思います。
この物語は元々サウンドノベルを作ろうと思い立って執筆を開始したもの。故に他サイトで掲載していた時、登場キャラの設定を全く表現しておらず後から後から付け加えてました……キャッチコピーが、『一人のヒメと一つのクニのモノガタリ』からブレにブレたのも、一重にそのせいです。
対して。
各章タイトルは、詳細を考えている時からずっと不変でした。
というのも、ストーリー内は、”異変”のせいで季節をバラバラに点在させていましたし、各章ともアングルがあちこち変わるので直接的に何時と書いてしまうのは合わないなと思いまして。けれど、時間軸でのキャラの動きをどうにか分かるようしたくてサブタイトルに準じて太陽と月を用いて表しているわけです。
気づかれた方もいるかもしれません、十干十二支です。一話から並べると
未=14時、亥=22時、竜=8時、
午=12時、卯=6時、酉=18時
戌=20時
となります。あまり関係なさそうな感じで、結局のところがっつり絡まってる。計算という遊びゴコロです(笑)
因みに、コレに気づくチャンスは本編にありました。そう、四章。閉じ込められた地下神殿の第一の扉を開くパスワードのヒント。あれは、タイトルから外れた残りの十二支を組み合わせて作りました。申だけ仲間外れになってしまいましたが。気になる解答は、後ほどまとめて。
次に、登場人物について語っていきます。
何を隠そう僕は、キャラの名前を考えるが超絶苦手なんデス。ストーリー以上に思い浮かばなくていつも困る。でも今回は、とっても楽をしました。
何故かと言うと、名前の殆どがフランス語変換したカナ読み、だからなんです。ネット調べなので発音が正しいか微妙ですし、テキトーなキャラもいますが。それでも、それなりに上手くハマったなって。
ストーリーを流す目的上、英語も随分混ざりましたがそこはご愛嬌。
また、フリガナをつけられるので登場人物の動きや指示語をそれなりにカバー出来たのではないかなと思っています。
ただ今回は地の文で、固有名詞を出さないチャレンジ、かつ、できるだけ特定しないチャレンジもしていたので、ギリギリ三人称?(一人称的)な表現も多かったのが反省点ですかね。
では、ここらでキャラ+α紹介(という名の適当フランス語講座)を。
☆少女=クロワ croix
十字架、という意味。
主人公。禁忌の子故に国で一番の魔力をもつ、東の供給者。国を丸ごと背負ってるので、主人公に相応しい名かと。英語ならクロスなので名前としては微妙なところでした(笑)
因みに短剣レネット(reinette)は、小さい女王という意味です。
主役、なのに登場回数少なっ!!からの、入れ替わり設定。というわけで、全編通してご出演されてます。五章までに怪しんだ方も多いのでは、と勝手に推測していますが……実際どうなのでしょうか。
☆侍女=フルール fleur
花、という意味。
一応生命体である花と東の秘宝を埋め込まれ活動できるようにされた陶磁器人形。こればかりはビスクドールと振る予定だったんですが、咄嗟にフランス語(poupee en biscuit/プーペアンビスキュイ)に。六章までに侍女が人間ではないと感づけた方はすごいと思います。因みに、主人公を死へ導く短剣グレーヌ(graine/種)を所持していたのも彼女。イロイロなモノを隠し持つ、超重用人物です。
☆騎士=エスポワール espoir
希望、という意味。
それはそれは立役者なので。今思えば、”正義”でも良かったかな。気に入っているので変えませんが。主人公を死へ導く案内人、は初期設定。
王家の剣ジュワユーズ(joyeuse)は、陽気という意味。剣にまで名前をつける羽目になるとは流石に思っていませんでしたが、いっぱい出てくるので急遽。
☆庭師=ジャルディニエ jardinier
そのまんま、庭師という意味。
悪役だけが初期設定。聖杯に血液を注いだ張本人で、聖杯の保護を受け記憶を封じられて転生した星神というのは後付け設定。最終的に被害者になったのも想定外。繰り返す転生に嫌気がさしていたことでしょう。
【東】
◇国名=アンジュ ange 天使
◇国王=ロワ roi
◇王妃(故)=ルレーヴ lereve 夢
◇執事=マジョルドム majordome
◇王太子=テール terre 地球
◇王子=リュヌ lune 月
◇術者=ソルシエ sorier 魔法使い
#供給器=生玉
ヴィヴェール vie 命/verre 玉
蘇りの石設定で主人公復活、も考えましたが結局ボツネタ。主人公が滅びることがバッドエンドであると絶対言えることはない、と。
【中央】
舞台の結末として用意した区域。
登場人物といっても幽霊達ですがそちらの名前はフランス語なのに、ストーリー内の名詞は全部英語というチグハグ。ゴーストタウンから始まりユニコーン、フェニックス、ペガサスとか……ちょっと残念感が否めませんかね?
★元女王=レーヌ reine 女王
主人公の母親。悪役です。最初から最後まで、悪役。カミサマにいいようにされた、どうしようもない人。既に霊体になっていた、という設定は後付けですがどっちにしろ騎士に復讐という形で終わりを迎えることに変わりはなかったです。母親を手にかけれない王女の代わりに、という流れは変更を加えざるを得なくなりましたが。
◇悪魔=エスプリ esprit 霊
◇精霊=モール mort 死
◇堕天使=ノワール noire 黒い
前世で星神に殺され未練でこの世に残った霊体たち、というのは後付け設定。最初は、中央でのお相手としてしか役割がありませんでした。なので、現世でも一瞬で星神に亡きモノにされるという結末に……。
因みに三話の、声のみの霊体は堕天使です。僕のお気に入り。
◇妖精=フェー fee
◇見張り兵=ソルダ soldat 兵士
王太子が操られるのも、一兵卒が操られ王妃を殺すのも初期設定。
妖精に、振り仮名がないのは単に不適切だったから。
*忘却の砂時計
ウブリサブリイェ(oubli 忘却/sablire 砂時計)
ガラスの中で砂が落ちきると、ある一つの事柄についての記憶を無くせるカミサマアイテム。普段はロックがかかっていて、それの解除には神一体分のエネルギーがいる、という裏設定有り。それにしても白兎、といえば時計という固定概念コワイなぁ。
【南】
まぁ、いくつか童話をモチーフにしているのでノープログレム、ですよね?勿論、想像を掻き立てる目的で、ですがサブタイトル以上に単純なので、気づかれた方もいるかなぁと思います。僕の中では、最大の工夫といえるかもしれません。
そうそう。王宮に送った最初の報告書は、頭文字を縦読みすることで”妖精 怪しい”というメッセージが浮かびます。本編ではハッキリ記述しなかったので、一応公開。
☆海神=ルミエール lumiere 光
◇人魚=ラモワティエ lamitie 半分
◇亀=ボヌール bonnheur 幸福
カミサマの実態はジュゴン。本編には全く出てこないのは、ものすごーく後付け設定だからです。まぁ、人魚のルーツはジュゴンなので首の皮一枚で繋がってる、はず!
亀は、究極の癒しのキャラ。偏見ですが。
#供給器=聖剣フラガラッハ(fragarach)
神話から持ったので、唯一フランス語かどうかは不明。
*真実の箱
メモワール(memoire 記憶)
失った記憶を取り戻せる、カミサマアイテム。砂時計と対になってましね……ものすごく、たまたまです。
【北】豪雪地帯
はい。漸く、答え合わせ。私はちょっと前から脱出ゲームにハマってまして。取り入れたら面白いかなぁ、と。ただの旅にならないように、ここまで思考を凝らしたのは初めてです。
一つ目の扉を開けるパスワードは先程述べ通りタイトルと同じ十干十二支。巳=十時,丑=二時,子=零時なので、答えの数字四桁は1020です。
二つ目はストーリーの中の解き方のまま。”缶の中”に魔力紙をいれると魔力が発動し、鍵が手に入る寸法。答えの五文字は、かんのなか。
最後は、A~Zまで横に並べて、表示されてる文字の前後を取るだけ。答えの六字はUNLOCKとなり、文字通り施錠出来るわけですね。
ストーリーの中で答えを書かずに、かつ説明を文字のみでしなくてはならないので質問自体のクオリティはめちゃくちゃ低い。なので、皆様方は解いて読み進めて頂けたものと思っております。
☆神主=パストゥール pasteur 司祭
◇巫女=アムール amour 愛
神主の盲目は書いてる時に思い付いた設定。
供給器の八咫鏡は……あら、日本語のままだ。逸話をもって、誕生伝説を作り上げました。月を先に名前として使ってたのでちょっと焦りましたけどまぁ、月は太陽がないと輝けませんからね。上手くハメれたので、結果オーライ!
◇八咫烏=プリュム plume 羽
◆雪女=ネージュ neige 雪
#供給器=八咫の鏡
魔力を、というより不吉な事象を捕らえる鏡。これを見たからこそ、神主と巫女は冷静だった。あの二人には、全てを分かった上でとぼけてもらいました。人間は嘘をつきますからね。物語のテーマの一つとして。
◆都市=クレアシオン creation 破滅
◆太陽神=ソレイユ soreil
◇星神=エトワール etoile
◆風神=ヴァント vent
◆雷神=トネール tonnerre
◆火神=フラム flamme
◆木神=アルブル arbr
◆水神=オー eau
◆土神=ソル sol
◆月神=サテリット satellite 衛星
◇半犬の彼/山狗=シアン chien 犬
◇半猫の彼女=シャトン chaton 子猫
◇白兎の青年=ラパン rapin
◇梟=イブー hibou
□夜雀=モワノー moineau
カミサマも、思いつき設定。登場した動物も、思い付き。なので先に出ていた動物にイロイロ変更をかける羽目になり正直焦りました。特に狗と猫は一話から登場しているので。兎は特別、でも狗もクセモノですね。後は、鷹→梟になったりとか。白兎が消滅することになったのは、最後の最後で決めました。これで王女への一途な恋心が生きてきますかね?
因みに、本編内での区別は、瞳の色。王族は紅、霊体は蒼、カミサマはグレー。操られしモノは紫。夜雀は特別出演なので金。仲間外れの騎士は碧、神主は琥珀、巫女が焦げ茶。
【西】近代都市
このエリアだけは、現代風。複数の厄際に見舞われ壊滅的な状態になっていることを表す"パーフェクトスクリーム"と現実を掛けて。日常を壊すのは、自然か人間か。こちらも物語の一つテーマです。
☆錬金術師=ブラン blanc 白い
★医師=メディサン medeci 医者
役職違いの、同一人物。関西弁の口調はそのままに、魔力で姿を変装。
3人が飲まなかった薬は、実は人を操るモノで少女を攻撃した星神を操れているものと一瞬勘違いした設定を考えてましたが、結局没ネタ。
あ。町人を操っていたのは、このお方ですよ。王妃を殺した一兵卒を操っていた設定は後付けです。
#供給器=聖杯
サングレイル(san 血/graal 聖杯)
一番の、元凶。つまり、何もかもカミサマが悪い。"欲"というのが、この物語の最大のテーマで、望みを叶えるのは対価=犠牲がついてまわる。深すぎて、描き切れてない感があるのが僕的にちょっぴり残念。
*始まりの泉&地下水脈
各地方に、水源として備わる泉。中央は噴水として登場。少女のよる治癒を受けて灼熱地獄を味わうことになった騎士が中央にこれたルートですね。引きずり込んだのは勿論、海神ですが本編では不詳扱いにしてしまいましたのでここでぶっちゃけ。
正直、書き方とか全然知らなくて。文庫本はよく読むのに、天の文のカギカッコの前に句点を入れてはならないことや、地の文の最初はヒトマス空けることに気づくことさえなかった。とある方が、書き方を書いてくださっていて慌ててこの二つと、三点リーダーは偶数で使うことを実践した次第です。
そんなまだまだ未熟者のモノガタリ、最後までご愛読頂きましてありがとうございます。とても嬉しく思います。これにて後書きと代えさせて頂きます。
それでは、またどこかでお会い致しましょう。
美園 のぞみ
孤高のヒメと神に支配されしクニ 箕園 のぞみ @chatnoir
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