お師匠様を、口説きたい! その2



 太陽が燦々と輝く夏の日。

 突如、ジークは思い立った。


「師匠に告白しよう……」


 すでに魔法使いとして活動を始めた、2人の妹弟子は仕事に出かけた。

 セドナは買い物に出かけ、暫くは戻ってこないだろう。

 グリーナは仕事の疲れからか自室にて休んでいる最中だ。

 今、この家にはジークとグリーナしかいなかった……。


 彼はこれを好機と考え行動に移した。

 堆積して限界を迎えた、師匠への想いを打ち明けたい。

 後戻りはできなくなるが、これ以上は自分に嘘をつけなかった。

 もし、断られたら独り立ちする。その決心をした。


 コンッ  コンッ  コンッ


 部屋の扉を3回ノックする音が、彼女の部屋に響いた。

 布団の中で悶々としていた彼女は、髪を咄嗟とっさに整えて服装を正す。

 そして、扉の方へと駆け寄った。


「……はい、何ですか」


 彼女はゆっくりと扉を開きながら、ノックした相手を確認した。


「……失礼します。師匠」

「ぁ……ジーク。な、なんでしょうか」


 彼女に動揺が走る。

 つい先ほどまで布団の中で悶々としていた原因、懸想けそうの相手がそこにいた。彼を視認した瞬間に、彼女は体が急激に熱くなっていくのを感じる。


「師匠と話がしたくて来ました。ダメですか?」

「ぃ、いえ、ダメではないですが……」

「では、お話しましょう」

「は、はい……」


 「話がしたい」その言葉を聞いた彼女は、戸惑いとともに僅かな期待に胸を高鳴らせた。そして彼女は彼を部屋へと招き入れる……。

 彼は彼女の部屋に足を踏み入れて、覚悟を決めて話し始めた。


「今日は師匠とゆっくり話がしたくて来ました」

「な、なんでしょうか……」


 改まった愛弟子の態度に緊張する彼女。……目が泳いでしまう。

 段々と顔が赤くなり、鼓動の勢いも強まっていく。

 彼女には自分の心臓の音が聞こえ始めていた。

 両手に握りこぶしを作り、りきみながら返事をする、それが精一杯だった。


「子供の頃は一緒に寝たり、2人で出かけたりしましたね」

「そ、そうですね」

「今ではお互いに忙しくなりましたが、今日は休日ですし。その」

「は、はい……」

「これから、一緒に何処かへ出かけませんか」

「…………ぁ……は、はい!」


 彼女は理解した。

 これはデートだ、これから愛弟子と2人だけの時間を過ごせる。

 傍から見れば仲の良い師弟にしか見えないだろうし、きっと問題ない。

 彼女は内心で喜び飛び跳ねた。しかし、すぐに不安がよぎる。

 グリーナは男性との経験がなく、何をすればいいのか分からない。

 そもそも弟子はデートという認識なのだろうか……。

 単に昔を懐かしんでいるだけではないのか、彼女は考える。


「本当ですか! ありがとうございます。デートですね」

「……っ!? あ……そそそ、そうですかね?」


 デートで確定した。

 顔は真っ赤に染まり、心の底から湧き上がってくる衝動を必死に抑える。

 彼女は笑顔で飛び跳ねたい気持ちを懸命に堪えた。

 愛弟子に悟らせないように、抑えきれない笑顔を手で覆い隠す。


 バレバレだった。

 彼の瞳には、真っ赤な顔でニヤつく彼女が震えている。バレバレだった……。

 そしてジークは、誘いを断られなくて良かったと内心では胸を撫で下ろした。


「行きたい場所はありますか?」

「どこでも大丈夫です……」


 本当は、2人きりになれる静かな場所が良かったが、恥ずかしくて言葉にできなかった。それでも、一緒にいられる口実ができただけでも幸せを感じている。これから起こる可能性に、彼女は胸を高鳴らせていた……。


「……では、2人きりになれる場所でもいいですか?」

「……………………はぃ」



 彼女の恋物語が幕を開けた……。
















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 最後にここまで見てくださった読者の方々、ありがとうございました!

 星をくれた人にも感謝です! モチベーションが保てました。

 応募など関係なく、趣味で書く予定です。

 最後にもう一度、ありがとうござました。

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異世界転生 お師匠様と、魔法使い! 松本隆志 @AAA312

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