第15貸 特別報酬
セフィーが目を覚ましたのはセブンスヘブンの治癒院のベッドの上だった。
彼女がリュクルスを助け出して意識を失った後、戦闘の音を聞きつけた他の冒険者によって助けられたのだ。
もしモンスターの方が先にやって来ていたらと思うとゾッとするが、彼女達が倒れていた周辺には全くと言っていい程モンスターの気配は感じなかったという。
モンスターが野生の勘というものを持っているかどうかは不明だが、圧倒的に力量差のある冒険者に対してモンスターは襲って来ないし、出会っても逃げ出す事が殆ど。
そこから導き出される答えは、モンスターも魔女の強大な力を恐れて、周辺から逃げ出したという事なのだろう。
セフィーは助け出されてから丸1日眠っていた。
そして目を覚ました時には既に全て解決していた。
この戦いで一番軽症であり、かつて名を馳せた冒険者で、冒険者支援協会長のルーナとも昔馴染みであるリューナルが色々と動いた結果だった。
幸いな事に魔女はアクアミラージュという水の防護壁を常に張っていたおかげで、その姿は滝の向こう側を見ているかのように朧に霞み、セフィー達以外で魔女の姿をしっかりと見た者が居なかった為、リュクルスが魔女の正体であったという事は全く広まっていない。
立場上、ルーナには包み隠さずに話したが、リュクルスが未成年である事、魔導書に操られていた事を考慮して、罪に問われるような事は無かったし、その事実を知る者には緘口令を敷いた。そんな事をしなくても口外するような不届き者はいないのだが。
だがリュクルスの罪を不問にする代わりに、リューナルが所持していた魔導書の原本の全ては冒険者支援協会で厳重に管理される事になった。
特に今回の事件を起こした一般魔法の魔導書は不慮の事態が起きない限り、その姿は永遠に陽の目を見ることは無いだろう。
その事実にセフィーは胸を痛めた。
セフィーは魔女に対して言ったのだ。リュクルスだけじゃなく魔導書の方も助けると。
このままではあの魔導書は暗い場所で永遠に孤独を味わう事となるだろう。
魔女の意識がまだあった状態でレベルを貸し与えたから、僅かではあるが、その意思をセフィーは感じ取っていた。
あの魔導書はリュクルスと同じだったのだ。
いつの時代からこの地下世界に存在し、いつから意思を宿していたかは分からないが、魔導書は一度も見た事も行った事も無い地上という世界に憧れを抱いていたのだ。
だからこそ同じ憧れを抱くリュクルスと感応してしまった。
そこに悪意は存在しない。
ただ純粋に塔の頂きを目指したかっただけ。
冒険者を傷付けたのもただ邪魔だっただけ。行く道を塞いでいたから振り払っただけ。冒険者が立ち塞がるモンスターを倒すのと理由は同じなのだ。
人族から見れば、不条理で不愉快な事かも知れないが、それは逆も然り。
きっとモンスター側から見たら、冒険者こそが不条理で不愉快な存在となるだろう。
経験を積む為、素材を剥ぎ取る為、単に邪魔だから。
そんな軽い理由で傷付けられ、命を脅かされるのだから。
だがその事実に気付いたからといって手心を加える気は無い。
倒さなければ命を脅かされるのは自分なのだ。
何か考えがおかしな方向へ飛んでしまったが、それも仕方が無い。
正直言ってセフィーは暇なのだ。
回復魔法のおかげで傷も癒えているし、体力も元通り。今から塔の探索に出掛けようと誘われても、すぐに向かえる程、体調は万全と言える。
しかしラースを始め、知り合いの全員から丸1日も倒れていたんだから、今日くらいは安静にしてろと言われ、治癒院から退院させて貰えなかったのだ。
この地下世界に落とされてから、恐らくは初めての何もしない日。
個室であり、見舞いにも誰も来ていないので話し相手もおらず、あれやこれやと色々と考えるしかする事が無いのが実情で、暇を持て余しているのだ。
「誰でもいいから来ないかしら……」
セフィーが「う~ん」と背伸びをしながら、そんな事を1人呟くと、まるで見計らったかのように部屋の扉をノックする音が聞こえる。
「セフィーさん。ルーナです。少々お時間を宜しいでしょうか?」
「あ、はい。どうぞ、入って下さい」
セフィーは快くルーナを招き入れる。
「この度はお疲れ様でした。お元気そうでなによりです」
「本当はもう退院して探索に行きたいくらい元気なんですけど、皆に今日くらいは休めって言われちゃって……」
苦笑を浮かべるセフィーにルーナは微笑で返す。
妖精族の美貌を持ち、受付嬢として長い間、冒険者達に笑顔を振り撒いていただけあり、その笑みは同性のセフィーでもつい見惚れてしまう。
「それにしても、あなたは本当に不思議な人ですね。冒険者になりたてで初期レベルかと思えば経験値がカンストしていたり、この短い間に10階層を越える程の力を手に入れたり。しかも今回はリューナルさんがいたとはいえ、レベル15の冒険者パーティーでも手も足も出なかった強大な魔女を相手に、たった3人で解決してしまうなんて……」
ルーナの口から洩れる吐息は感嘆なのか、呆れなのか。
「あっ、こんな事を言いに来たんじゃありませんでした。今日は冒険者支援協会の会長としてこの度の事件を解決して頂いたセフィーさんに報酬をお伝えに来たんです」
「え?ほ、報酬?!べ、別に私はリュクルスちゃんを助けたかったからやっただけで……」
「いえ、そう言う訳には参りません。魔女の探索は協会から依頼したものです。冒険者の皆さんの命を危険に晒すような依頼を行った訳ですから報酬を支払わなければ協会としての顔が立ちません。そして事件を解決した人に対してはそれなりの対応もしなければいけないのです」
会長にそこまで言われてしまっては断る事は出来なかった。
それに冒険者は冒険者支援協会からの依頼や塔内部での拾得物で生計を立てている。
タダ働きでは冒険者に不満が募るだろうし、協会の信用にも関わって来る問題だ。
セフィーは渋々ながら頷く。
「それでは納得して頂いた所で、今回の報酬についてお伝えします。まず今回の依頼に参加された冒険者には一律で2000ポイントを付与します。これは窓口に来て頂いた際にカードの方に反映させて頂きます。そして今回の功労者であるセフィーさんには特別報酬として追加で20000ポイントと協会が保有するアイテムを1つ差し上げます」
参加報酬もかなりのものだったが、特別報酬は更に上をいく破格の額だった。
特別報酬だけでオーガブレード1本が軽く買えてしまう。
「え?!そ、そんなに!?えっと流石にそれはちょっと気が引けるというか何というか……特別報酬の方は辞退し………」
セフィーとしては個人的な感情で動いただけだ。
参加報酬でさえ、協会側が指定したエリアとは別の階層を探索していたので辞退したい気持ちなのに、流石に特別報酬までは受け取る事は、彼女の性格上、無理だった。
しかし目の前のルーナに見つめられていると反論出来なくなっていく。
伊達に会長をやっている訳ではないのが、良く伝わってくる。
「え、あ、そ、そうだ!1つお願いしたい事があるので、特別報酬はそれで手を打って貰えませんか?」
「お願いですか?内容にもよりますが、聞くだけは聞きましょう」
ルーナの迫力が若干弱まり、セフィーは僅かに緊張を解してから、願いを伝える。
「今回の事でリューナルさんが持っていた魔導書の原本は全て協会預かりになったって聞きました。それでお願いというのは……」
「却下です」
セフィーが全てを、というか内容さえ言わせて貰えないまま、ルーナは力強くその願いを切り捨てる。
「ちょっ!言わない内から却下しないで下さいよ!!」
「言わなくてもどんな内容かは察しましたので。それに却下したのにもちゃんと理由があります」
セフィーがお願いしようとした事は魔導書の原本をリューナルに返すという事。
リューナルの経営している“リトルコルプス”にある魔導書の大半は原本を元に作られている。それを取り上げられてしまえば、新たな魔導書を作る事が出来なくなる。
リトルコルプスが小さいながらも経営し続けられているのは、魔導書の品揃えが他の魔具屋よりも良いからだ。
もし新たな魔導書が作れなければ、経営状況が悪化し、最悪、店が潰れてしまう可能性もある。
「セフィーさんが言いたい事はちゃんと分かっていますので、もう少し落ち着いて下さい。ちゃんと理由があると言ったじゃありませんか。却下した理由はラースさんにも同じような事を言われて、既に了承しているからです」
「へっ?」
ルーナの言葉にセフィーはポカンとしてしまう。
「魔導書の原本は扱い方によって危険なのは、今回の件で明白です。ですので協会で厳重に保管するという決定には変わりありません。ですがアンダガイナスでは原本から魔導書を作れる人は貴重です。そこでリューナルさんには好きな時に原本から魔導書を作製出来るという権利を与えました。協会職員の監視付きとなりますが。つまりセフィーさんが今頼もうとした事は既にラースさんの報酬として支払っており、意味を成さないの為に却下したという訳です。本当にあなた達は似た者同士というか、お人好しというか、欲が無いというか……」
ルーナは呆れたような溜息を吐きつつも、その表情には笑みが浮かんでいる。
年若い冒険者達が昔馴染みであるリューナルの事を気に掛けてくれている事が嬉しいのだろう。
「さて、そう言う訳ですので今の話は無かった事としまして、改めてこちらの提示した特別報酬を受け取って頂くか、あるいは別のお願いがあるようであればお聞きしますよ」
別の願い。
セフィーには確かに2つ程お願いしたかった事があった。
ルーナのその口ぶりからすると、どうやらセフィーの考えなどとっくにお見通しだったようで、感心するとともに心を見透かされて恥ずかしい気分となる。
「うぅ~、もう分かってるって顔してますけど~」
「あらあら?一体何の事でしょうか?言って貰わないと私には分かりかねますわ~」
最初の願いは言うより早く却下したくせに、今度はわざわざセフィーの口から言わせようとする。
確かにこの願いはルーナの口から言わせる訳にはいかないだろうし、言う事も出来ないだろう。
気さくに話してはいるが、彼女はセフィーの3倍以上も年上の冒険者支援協会の現トップだ。
恐らくセブンスヘブンの街の中でも五指に入る程の有力者だろう。
その彼女自身が1度下した決定をあっさり覆したりする事は出来ない。
しかし今回の事件を解決した功労者が破格の特別報酬の代わりに願い出たとなれば、様相は変わって来る。
願いを聞き届けるという形にすれば、それが決定を覆すものだとしても、冒険者支援協会としてもその会長としても体面を保てるし、誰からも文句
は出ないだろう。
だからルーナはわざとらしくセフィーの口から言わせようとしているのだ。
偉い人は大変なんだなと思いつつ、セフィーはその好意に甘える形で、遠慮無く自身の望みを伝える。
「分かりました。それじゃあ私が特別報酬の代わりにお願いしたい事は…………」
* * * * * * * * * * * *
「そういえば~、あの時はどうやってリュクルスを助け出したのですか~?」
セフィーが退院した翌日。
迷惑を掛けたお詫びとして、リューナルはセフィーとラースを家に招いていた。
リュクルスは大事を取って今日も父親と共に治癒院に泊まっている為、今日は3人だけだ。
そして今、お詫びの1つである夕食を囲みながらリューナルが、あの時の事を尋ねる。
「え~っと、リューナルさんが言ってましたよね。あの魔導書は一般魔法の原本だって。そしてこうも言ってました。レベルが低いと魔導書の魔力で操られるって。それで思ったんです。レベルが高くなればリュクルスちゃんの意識が戻ってくるんじゃないかって。正直に言えば賭けだったんですけど、結果的に上手くいって良かったです」
全く確証が無かったわけではないが、成功するかどうか未知数だったのは事実だ。
身体を操られながらも、頑張って抗い続けていたリュクルスの強い意志に気付かなければ、思い付かなかった方法だったし、一般魔法の魔導書だったから、成功したとも言える。
一般魔法はセフィーのような特殊な素質の持ち主で無い限り、基本的にレベル10になるまでの間に覚えることが出来る魔法だ。
だから例え強大な魔力と意思を持つ原本であっても、レベルが10を越えれば、抗っていたリュクルスの意志も強くなり、魔力量も増えるので魔導
書の意思に打ち勝てるのではないかと期待したのだった。
「もし失敗してたら魔女を強くしてただけに終わっていた可能性もあったわけだ……」
「け、結果的に成功したんだからいいじゃない!」
今更になって分の悪い賭けに乗っていた事にラースは大きく溜息を吐く。
セフィーは口を尖らせるが、実際そうなってもおかしくは無かったのだから、ムキになって反論も出来ない。
「でも~、その機転のおかげで~リュクルスが助かった訳ですし~。それに~誰も死ななくて良かったです~」
「うん。操られてたと言ってもその手で人を殺めてしまっていたら、心に消えない傷が残るもんね」
幸いな事に最初に襲われたパーティーも、セフィー達が助けた剣士のパーティーもなんとか一命は取り留めていた。
くまなく探索した結果、その2パーティー以外に魔女に襲われた冒険者はいなかったので、彼ら全員が生きているという事は誰も死んではいないという事になるだろう。
一命を取り留めたとはいえ彼らが冒険者として復帰できるかは分からない。だが、生きてさえいればなんとでもなるだろう。
「2人とも~、改めてありがとうございますね~」
リューナルは改めて2人に頭を下げる。
そして2つの包みを取り出し、それぞれ2人の前に差し出す。
「これは~、私からの感謝の気持ちです~。受け取って下さい~」
「これはなんですか?」
「いいからいいから~。早く開けてみて下さい~」
リューナルに急かされるまま包みを開いた2人は、そこにあったものに目を瞠る。
「こ、こんなの受け取れませんよ!」
「そうです。こんな高価なもの……」
「いいのいいの~。感謝の気持ちって言ったでしょ~?それに~、私が昔使っていたお古で~、売り物には出来ない代物だから、あんまり気にしないで~」
セフィーが渡された包みの中には、ワイン色の上半身を覆うくらいの丈のハーフローブが入っていた。
見た目は年季の入った何の変哲も無い質素なローブだが、裏地には魔方陣が刺繍で描かれているのが分かる。
それは吸魔のローブと言われる魔導具だった。
描かれた魔方陣は空気中に漂う魔力を少量ながら集めるもので、これを着て歩いているだけで魔力の回復が早くなるという優れものだ。
一方、ラースの方の包みは左腕だけの金属製のガントレットだった。
金属というだけでこの地下世界では高価なのに、このガントレットに使われている金属はミスリルと言われる地上世界でも希少な魔法金属で出来ていた。
オーガブレードでも切断出来ない程の硬度を持ち、更に装備者が力ある言葉を唱えるだけで、魔法の素質が無くてもガントレットの周囲に強固な魔法障壁を発生させることが出来る一品だ。
どちらも送り主に気にするなと言われても、気にしない訳にはいかないほどの貴重で高価な代物だ。
「あなた達に受け取って欲しいんです~。私が成し得なかった地上に行くという夢を~、いつかリュクルスと共に歩んでくれるあなた達に託したいんです~」
そう言われては受け取るしかない。
ルーナからの特別報酬の時もそうだったが、年長者であり、元とはいえ熟練の冒険者である彼女達の言葉は、冒険者になって日の浅い2人にとっては断る事の出来ない重いものに感じるのだ。
だからセフィーは苦笑しつつ頷く。
「分かりました。ありがたく使わせて頂きます。そしていつかリュクルスちゃんが冒険者になったその時に、彼女に託したいと思います」
セフィーの返答にラースも頷く。
今度はリューナルの方が苦笑を浮かべる番だ。
暗に預かるだけでいずれ返すと言っているようなものだが、リューナルは笑顔を浮かべただけで何も言わない。
既に上げたものだ。
その後に2人が売ろうが捨てようが、誰かに貸そうが渡そうが、それは所有者となった2人の自由だ。
例えそれが自分の娘に託す事だとしても。
だからリューナルは目の前の若き2人の冒険者に感謝する事しか出来ない。
「ルーナも言っていましたが~、本当にお2人は素直で優しくてお人好しですね~。彼女からの特別報酬も私達の為に使ったと聞きましたし~」
「え、あ、その…それは……」
まさか本人にバラされているとは思わず、セフィーもラースも気恥ずかしさに顔を赤らめて俯いてしまう。
ラースはリューナルがこれからも魔具屋を続けられる様に計らった。
そしてセフィーはというと、ルーナが承諾してくれたものは正直に言えば、リューナル達の為というより自身の我が儘に近い。
だが、それも結果的にはリューナル、いやリュクルスの為になるといっても過言ではない。
なぜなら、セフィーが望んだものとは、今回の発端となった魔導書原本をリュクルスに譲り渡す事だった。
本来ならこんな願いは受け入れられる事はありえない。下手をしなくても今回の二の舞になる事は目に見えている。
にも関わらずセフィーの願いをルーナは承諾した。
体面的には冒険者支援協会の決定を覆す願いである為、渋々了承したという事になっているが、実際には快諾している。
その理由の1つがリュクルスの特技だ。
元々彼女には攻撃魔法の才能があった。だから魔導書を読んで勉強をしていたのだが、今現在、彼女の魔法の才能は消え失せている。
その代わりに“ブックリーダー”という特技を得た。
この特技は魔導書の原本の力を引き出す力を持っていた。
想像でしかないが、魔導書が自身の魔力を使いこなせる為に、リュクルスが持っていた魔法の才能を改変したのだろう。
原本に書かれてある魔法ならば、才能に関係なく全て使いこなす事が出来る。しかし魔導書を所持していなければ、一切魔法を使うことが出来なくなってしまった。
つまり原本が冒険者支援協会によって封印されてしまえば、リュクルスは魔導士として冒険者になることが出来ない。
だが逆に言えば、魔導書の原本さえあれば最強の魔導士になれるという事だ。
冒険者支援協会としてはそんな人材を埋もれさせるのは勿体無いと感じたのだ。
そしてもう1つの理由はセフィーの存在だ。
ルーナには今回の件を報告するにあたり、レンタルの事を打ち明けた。
意思を持った魔導書は使用者のレベルが低いと使用者の意思と身体を乗っ取ってしまう。だが今回の件でリュクルスのレベルが10を越えれば操られないという事が分かっている。
つまり例えリュクルスの現在レベルがどれだけ低くても、セフィーが足りない分を貸し出せば、絶対に操られることは無い。
だからこそルーナはその願いを受け入れた。
魔女化するという危険無く、最強の魔導士が協会に加わる事になるのだから、快諾するのも当然だろう。
リュクルスはまだ10歳の未成人だが、本人が望めば特例で冒険者資格を発行できるように手配を進めているらしい。
「ただ~、リュクルスを冒険者として活動させるのはもう少しお待ち下さい~。あの子には~冒険者の心得や戦い方など教えなければなりませんから~。そうですね~、1年……いえ半年待っていただければ~、一人前の冒険者にさせますわ~」
「あははは、それじゃあ私達も一人前になったリュクルスちゃんに失望されないようにしっかりと塔を探索して力をつけないとね♪」
「確かにそうだね。僕もセフィーさんの力を借りなくても戦えるようにならないと!」
改めて気合を入れるセフィーとラース。
リューナルは若き冒険者を微笑ましく眺める。
そしていつかこの2人と自分の娘が塔の頂にまで至り、地上世界へと到達する事を心から願うのであった。
* * * * * * * * * * * *
こうして彼と彼女の冒険の1つは終わりを告げました。
ですが2人の物語はまだ終わりません。
冒険者であり続ける限り、2人の前には冒険があり、後ろには物語が生まれ続けるでしょう。
だからこそ私はこの2人の背中を追い続け、それを後世に残していきたいと思います。
それが私にとっての恩人にして英雄である2人に対して出来る唯一の恩返しだと信じて……。
― 冒険記者 リュクルスの手記より抜粋 ―
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