#3 白と黒
1
大袈裟な装飾が目立つ一室、そこには薪で焼べる暖炉、壁には鹿の剥製。絨毯には熊の剥製、硝子のテーブルを挟んで黒い皮製のソファーが二脚。その後ろ、幅のあるデスクの上には資料が疎ら、金色の装飾が施されたレトロな黒電話が印象的。更にその背後には、大きな窓。ブラインドカーテンが半開きの状態だった。
「始めまして」
黒縁眼鏡、髪型はシチサン分け、白と黒が混ざるゼブラ模様の壮年の男は白衣を身に纏っていた。胸元のネームプレートには、桜田と書かれている。
深々と腰が埋まる黒いソファー、そこにはツインテールの一見可愛らしい女の子が座り込んでいた。腰を下ろし片膝を地に付けた桜田が、満面の笑みを女児に向けるも、その表情は凍りついた様な無。
「お名前は?おじさんはね、桜田というんだ。君のお名前を教えてくれないかい?」
「…あきこ」
「そう、秋子ちゃん、宜しくね。今日からは、おじさんを秋子ちゃんの家族だと思って…」
キッと睨みを利かせる秋子、年端も行かない少女が見せるモノでは無く、その壮絶な形相に桜田はギョッとし、つい尻をついた。
「これから、簡単なテストを行うんだけど、やれるかい?」
コクンと小さく頷きを見せた秋子。桜田はスッと立ち上がり、何事も無かったかの振る舞いを見せ、自信の机の上から筆記具とテスト用紙を取り、再び秋子の前に片膝をついた。
「この答案用紙を埋めるだけの簡単なテストだからね」
簡素な笑顔で桜田が肩に触れようとした瞬間、秋子は、ガタッと椅子の音を立てながら立ち上がった。スッと桜田が差し出すテスト用紙を受け取ると、近くのテーブルまで足を運んだ。
「このテストはね、君の今の心の状態を簡単に3分化する物なんだ。それが終わったら、更に細分化する為のテストをしてもらうよ」
秋子の背後に立つ桜田。その言葉を聞いてかいないか、秋子は無心でテストをこなす様子。桜田は、妙な違和感を感じていた。母親から伝えられたタブーは、春香の名前。その名を口にしようものならば、狂った様に喚き散らすのだと。本人は秋子と名乗り、母親は秋子を演じているのだと言う。妹の春香、所謂自分が亡くなった方だと思う事で自我を棄て去り、秋子を演じている内に本人そのものになりきってしまう。事例としては、ない事もない。桜田は、ある一つの仮説を立てていた。
ふと、秋子は立ち上がり、桜田の方へ振り向き、終えたテスト用紙を突き出した。
「ああ、どうだい?簡単なもんだろ?」
スッと桜田はテスト用紙を受け取り、それに眼を通す仕草。
「やはり」
ボソッと出た桜田の言葉。右に持つテスト用紙を見つめながら、一瞬で桜田の表情は険しいものへと変わった。
2
「佐々木春香、彼女は一種の解離性同一障害であるかに見えたが、秋子と名乗る以外は特に異常は見受けられない。先の事件において性的暴行と双子の姉に当たる秋子の殺害現場を目の当たりにし、春香であった自己を強く否定する事により、自身の名前を偽り、自分だけが助かった罪悪感を拭っているに過ぎないのだと仮定する。」
スッと、桜田はボイスレコーダーを口元から離した。薄暗い照明、目の前のデスクには、資料が疎らに置かれている光景。背を向けたまま立ち上がり、大粒が降り注ぐ窓のブラインドカーテンの間を少し覗いた。
「しかし、戸籍上は、春香…」
桜田は、ボソッと呟いた後、首を左右に動かし、デスクの引き出しから高級そうな葉巻を取り出し口元へ運んだ。シュッとマッチを擦る音、じんわりと葉巻の先端から煙が滲み上がる光景。口元をパクパクさせ、少し薄くなった煙を吐きだす桜田、思考は秋子の症状とも言える異常無き異常。
幾つもの推察の中、一つの仮定が桜田の脳裏を横這いに立ち止まる。秋子の行動全てが、自己防衛と捉えられない様に思えた。母親の為?しかし、それでは辻褄があわなくなる。母親は、春香に戻して欲しい訳であり、春香が秋子を演じ続ける意味が無くなる。だとすると、秋子は秋子であり、母親が病んでいる様にも思えた。しかし、戸籍上は春香。そして、その名を口にすると彼女は一変し、暴れ狂い出す。
ハッと表情を変えた桜田。
桜田の考察が、一つの答えに行き着いた瞬間、咥えていた葉巻がゆっくりと、スローモーションの様に床へと落下して行く光景。
桜田の思考の先、この仮定による行き着く先は、やはり秋子は秋子で無ければならない。秋子が春香を演じて行く中で、春香が秋子への罪悪感を拭えなくなり、演じている春香が秋子を演じ始めた可能性を導き出した。
落ちた葉巻は、甘い香りを漂わせながら木製の床をゆっくりと焦がしていた。
秋子→春香→秋子。この構図が、桜田を1番納得させた。
桜田は、ふと目が覚めた様に床に落ちた葉巻を拾いあげ、灰皿の底に押し付けた。
二重解離性統合失調症候群。その病名が頭に浮かぶと、桜田は直ぐ様に戸棚の前迄足を運び、その扉を開いた。戸棚の中には医療書が隙間無くビッシリと敷き詰められている。その中の一冊に桜田は手を伸ばした。
3
その日、その時迄は、何時もと変わらない日常だった。学校へ行き、授業を受け、姉妹は放課後手を繋ぎながら帰宅。そんな、昨日も一昨日も毎日繰り返された変わらない1日のはずだった。
浮かぶ光景は、田畑、あぜ道、緑生い茂る木々、幅の広くない河川、それらが等しく移り変わる光景。
ゆっくり瞼を開くのは、後ろに髪の毛を一纏めにした、成長を見せる秋子の姿。辺りは畳と襖だけの簡素な一室。秋子の目の前には、父親と幼き頃の自分と瓜二つの顔が写る遺影を飾った仏壇。遺影の前、半分ほど灰になった線香、その煙が揺らぐ事なく天に向かっていた。
仏壇の前、正座を崩し立ち上がる秋子。その表情は、凍て付いた氷の様な冷たさを放っている。襖を開け、木目調の床に足を運び襖を閉めた。ゆっくりと台所の横を通過し、その先にある玄関へと足を運ばせる秋子の姿。
ゆっくりと開かれる玄関、外の陽射しが急かす様に足下から侵入して来る光景。照りの強い陽射し、季節は夏だった。
蝉の鳴き声が至る所から発せられ、アスファルトの上は熱気で揺らぐ。ジワリと滲む汗、ベト付く肌、通りすがりの誰かの熱気までも感じられそうな程。秋子は、荷物の詰まった赤いキャリーバッグを手に、この暑さに辟易しながらも駅へと辿り着いた。
改札を抜け、ホームまで来ると、秋子は、そのままグリーン車の停車位置まで足を運んだ。間も無く列車が到着し、空いてる席へと腰を落ち着かせた。
スッと、赤いキャリーバッグから、招待状と書かれた物を取出し、それを開いた。秋子は、同窓会の案内と書かれたそれを、どこか虚ろな表情で眺めていた。
窓の外の景色は次第に喧騒感を失くして行く。トンネルを潜り抜ける度、それは加速し、いつの間にか緑色が遠くまで見渡せる景色へと変貌を遂げていた。
「はあ」
吐いた溜め息は、緊張の表れか、秋子の唇は軽い痙攣を見せている。ふと車内にアナウンスが響き渡ると、秋子の表情は一層硬くなった。
古びた木造の駅舎、それを背に秋子の視線の先、そこには大手を振るう若菜の姿。その若菜の背後には銀色のワンボックスカー。
「久し振りー、秋子ちゃん!疲れた?長旅お疲れ様」
「若菜ちゃん!有難う!」
少し身長が伸びた若菜、長い睫毛は相変わらず、髪型はショート。夕焼けが若菜の髪をより栗色に近付ける。
秋子は不安そうな表情を浮かべ、直ぐに俯いた。
「あれ?秋子ちゃん緊張してる?」
「うん、少し…」
若菜は、精一杯の笑顔を作って秋子の顔に近付けた。しかし、秋子は視線を逸らす。
「大丈夫だって!」
少し顔を上げる秋子、視線は逸らしたまま。
「うん…」
少し顎を上げ、笑顔を緩ませた若菜。一瞬の間を置き、直ぐに両手で秋子の荷物に手を伸ばした。
「あ、」
「長旅で疲れてんだから、いいの!」
半ば強引に秋子からキャリーバッグを受け取り、ワンボックスカーの後部座席にそれをしまい込む若菜。
「あ、有難う若菜ちゃん」
「いいって!」
若菜の気遣いに、若干緊張がほぐれた様子の秋子の表情には笑みが浮かんだ。それに気付いた若菜は、一先ずの安心を覚えた。
「色々、有難う」
「気にしないで!秋子ちゃんに会えるだけで私は嬉しいんだから!」
「私も、若菜ちゃんに会えるのずっと楽しみにしてた…」
ニコリと微笑み返す若菜は、そのまま運転席へと乗り込む。後に続き、秋子も助手席へと腰を下ろした。
鈍いエンジン音が響き、廃棄ガスが噴き出すと二人を乗せる銀色のワンボックスカーはゆっくりと走り出した。
4
染みの在るブロック塀、所々欠けた部分が歴史を感じさせる。塀の上から覗く木々は緑が生い茂り、時折りの風に靡く姿。夕焼け色の空がまだ青さを残す頃、その敷地内に銀色のワンボックスカーが停車していた。
手を合わせ、しゃがみ込む秋子と若菜。目の前の墓石には佐々木家と刻まれている。スッと立ち上がる若菜、その煽りで線香の煙りが靡く。立ち上がった若菜は、秋子を見下ろしていた。その目の前に刻まれた、秋子の文字に何を思うのか…若菜の緊張は、目の前を白くさせた。
眼の前には、大きく開ききった秋子の瞳孔。パッチリと開くその瞳の下、秋子は薄ら笑みを浮かべている。
「若菜ちゃん、どうしたの?ボーっとしちゃって」
若菜の喉の筋繊維が大きく上下した。
「秋子ちゃん、墓石…」
「ん?コレ、ママが間違えたみたいなんだよね!」
意を決して発した若菜、気怠そうに秋子の顔は斜め上を見上げる。
「ほら、私達って双子だったじゃない?ママもパパも良く私達の事を呼び間違えてたりしたし、あんな事件があった後じゃない?ママも気が動転してたんだと思うの。墓石の名前間違えちゃっても、しょうがないよね!」
たじろぐ若菜、冷たい汗が背中を伝う。
「…本当?本当にそうなの?」
若菜の握る拳に力が入った。
「え?何で?若菜ちゃん疑ってるの?私が春香だって思ってるの?何で?私が秋子を演じていて、実は私は春香でって事?何で、何で私がそんな事をする必要があるわけ?」
俯く若菜、激しい見幕を見せる秋子。次第に荒ぶる秋子の声に、若菜はどの反応も正しくは無いのだと感じていた。
「若菜ちゃんは、私の事分かってくれている気がしたんだけど、違ったのかなあ。ママもさ、私を春香だって思い込んでてさ、心療内科やカウンセリングの毎日で疲れてんだよね。罪の意識が1人歩きして私が、春香が秋子を演じている内に秋子としての人格がーって、正直、そんな事って有るのかな?若菜ちゃんは、どう思うの?私の事を本気で心配してくれてるでしょ?その気持ちは本物で、伝わって来るし、本当に嬉しいよ」
次々と発言を繰り返す秋子、若菜はただ呆然と立ち尽くしていた。
「ねえ、若菜ちゃん?どうなの?本当に私を春香だって疑っているの?」
困惑する若菜、滲み寄る秋子の圧に耐え兼ねてか、後ずさり。秋子が嘘を吐くとも思え無い、ならば春香は秋子であるという事にそれ程までに固執していると言うことなのか…若菜の思考は出口の無い迷宮に誘われる様。
「ねえ、わ・か・な・ちゃん!」
ハッと我に戻る若菜、自信のお節介が自らを落とし入れる羽目になったのだと深い後悔と反省に包まれる。
「ご、ごめん、秋子ちゃん」
「んん」
淀む瞳、開ききった瞳孔で俯く若菜の顔を覗き込む秋子。その歪んだ笑みが若菜の視界にゆっくりと入って来た。
「ごめんね、秋子ちゃん、墓石の文字を見てからずっと疑問だったんだ。もしかしたらって」
フと秋子の表情が戻る。何処か哀しげな瞳、先ほど迄の不気味さは微塵も感じさせぬ程の可憐さに一瞬で切り替わった。
「うん、そうだよね、無理無いよ。春香と私、瓜二つだったもん」
靡く風、一瞬の突風が秋子の髪を巻き上げる。いつの間にか背を向けていた秋子、その背を凝固した様に見つめる若菜。その瞳は力一杯に開かれていた。その視線の先は、秋子のうなじ。
若菜の身体は小さく震えた。
次の瞬間、ゴスッと鈍い音と共に若菜の視界が歪んだ。焼ける様な後頭部からの熱い痛みに表情が歪む。直ぐに焦点が定まらなくなり、膝をつく若菜。
「う、うう」
振り返り、ギョッとした表情を見せる秋子。
「若菜ちゃん!」
額からは暖かい血液がドロッと流れ出す。屈み込み、ボヤける視界の中、秋子が若菜を庇う様に抱き、何かを叫んでいる様子。
薄れ行く意識の中、若菜は秋子の正体に確信を持った。
5
モクモク立ち昇る湯気、キャッキャと聞こえて来る幼い少女達のはしゃぐ声。窓ガラスは曇り、熱いシャワーの音は鳴り止まない。
「若菜ちゃんにだけ、私達の秘密教えてあげるね!」
瓜二つの少女の1人が幼い姿の若菜に声掛けた。
「えー、なになに?」
瓜二つの少女達は、同じタイミングでニコリと微笑んだ。
「秋子にはね、ホクロがあるんだよ!」
声を発した少女では無い少女が背を向けてうなじを見せた。
「わー、本当だー!」
「これで、若菜ちゃんは私達の事もう間違えないよね⁉︎」
「うん!」
ガラッと引き戸が開き、若菜の父親が顔を覗かせた。
「みんな、夕飯出来たから、そろそろ上がりなさい」
「はーい」
一斉に返事をする少女達の光景。
ボンヤリと辺りの景色が黒に染まって行く中、徐々に意識を取り戻して行く若菜。ゆっくりと開く瞼、正面からの明かりが眼を眩ませる。
ズキン!と後頭部に激しい痛みが走る。咄嗟に後頭部に手を当てる若菜の姿。
「気が付いたかい?」
その声の主は、若菜の父親。中肉中背、白髪交じりで眼鏡を掛けている壮年の男。脇からは、母親の心配そうな表情。辺りを見回す若菜、自身が病室のベッドの上だと悟る。
「秋子ちゃん、秋子ちゃんは⁉︎」
「落ち着いて、若菜。」
両肩に手を乗せる母親、痛みに歪む若菜の表情、包帯から滲む赤。
「おい、頭を7針も縫ったんだ。あんまり動かない方がいい」
「ねえ、秋子ちゃんは?」
父親は怪訝な顔付きで、ゆっくりと肩を落とし息を吐いた。
「今、警察の取り調べを受けているよ。直ぐに通報してくれて助かったには助かったんだが、全くどうして…」
父親が首を傾ける。母親は、若菜の顔の前。
「あんた、犯人に心辺りは無いの?」
「…うん」
「よせ、母さん、若菜は他人に恨まれる様な子じゃあない」
「そうだけど…ここ何年も通り魔なんて…」
「ねえ、秋子ちゃんは無事なの?怪我とかして無いの?」
ボンヤリと何かを叫ぶ秋子の姿を浮かべながら、ふと一つの疑問が若菜の脳裏を過ぎった。
「ああ、無事だった。ところで、秋子ちゃんにやられたわけじゃ」
唐突な父親の質問に、若菜の頭には血が上り、その疑問は一瞬で消え失せた。
「お父さん!」
力強く睨み付ける若菜、それにたじろぐ父親の姿。
「す、すまん。そうだよな」
「誤解が無い様に言って置くけど、秋子ちゃは私の前にいて、背を向けてた。そんな秋子ちゃんが、後ろから私の頭を殴れるわけないじゃない!」
「そうか、そういう状況だったのか…」
「ん?秋子ちゃんから聞いて無いの?」
「ええ、私達が病院に駆け付けた時には、物凄い錯乱していて警察に取り抑えられていたものだから、てっきり…」
「秋子ちゃん…」
おもむろにベッドから両脚を床に降ろす若菜。
「お、おい、何処に行こうってんだ!」
焦る父親の胸を右手で押し返す若菜。
「若菜、何考えてるの!」
「行かなきゃ、秋子ちゃんは、とっても悲しい思いをしてるから、私が守ってあげなきゃ」
「わかった、わかったから落ち着け!」
「お父さん、お母さん、お願いだから行かせて」
「何言ってるの!頭を怪我してるのよ!」
「お願いっっっっ!」
病室に響き渡る若菜の叫び、ゆっくりと父親が肩を落とす。
「わかった、俺も行く。いいな」
「あなた!」
「お父さん!」
「だが、俺の言うことを絶対聴く事、守る事が条件だ!」
「お父さん、ありがとう!」
「ちょっと…」
怪訝な顔付きの母親とは裏腹に、父親と若菜の表情には明るさが垣間見えた。
6
闇に染まる空、街灯の少ない山路、所々舗装されていない林道が脇を抜ける。車のヘッドライトだけがこの闇を照らす唯一とも思える程の街灯の少なさ、一切の対向車とも出会わない。木々のざわめきすらも無い静けさの中、一台のエンジン音だけが遠く迄響き渡っていた。
白いワンボックスカーの中、ガタガタと揺れる振動に呼応するかの様に頭部への痛みのしつこさが、若菜をイラつかせていた。
「こういう時、本当不便だよな、田舎暮らしってのも」
運転席の父親がボソッと愚痴を吐いた。痛みからか、軽く頷くだけの若菜。
「そう言えば、秋子ちゃんは、秋子ちゃんだったのかい?」
若菜の眼が一瞬見開いた。
「何かに、巻き込まれているなら、父さんにだけは言いなさい。母さんには、内緒にしとく。余計な心配も詮索も面倒だからな」
「巻き込まれるも何も、只の通り魔なんじゃ…」
「…若菜、お前を襲った奴が誰なのか、本当に気付いていないのかい?」
「えっ?」
長い林道を抜け、小さな集落に差し掛かる所。一軒一軒の灯りのお陰で、ボンヤリと辺りの景色が浮かぶ光景。
父親の表情を除き込み若菜。その父親の表情は、怒りに満ちたものだった。
「さっきは、あまり問い詰め無かったが、秋子ちゃんを庇ってるわけじゃ無いのか⁉︎あの家族には、同情するが、ハッキリ言って狂っている」
「お父さん、やめて!秋子ちゃんは、本当に苦しんでる!それに、犯人は本当に違うから!」
「……そうか、なら、いいが。」
イノセントワールド イタリアンシェフ @hokuto
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