未知の外殻から覗かせる闇は――届かぬ深淵か、それとも、光及ぶ残影か。
- ★★★ Excellent!!!
昆虫学者という、もの珍しい肩書きを持つ男性が探偵役を勤める本作。
ページを一つ捲った途端に表示される膨大かつ専門的な解釈から、学術的価値観を優先する人間性を備えているかと思えば
自己紹介に愛称を絡める気さくさで、人間味あふれる彼にどこか懐郷か憧憬を覚えてしまう。まるで遠き恩師を見ているような。
個人的な印象はひとまず置いて
本作は《ある虫》の群衆暴動を機に、現地に彼が赴くことから物語が始まる。
既存なのか未存なのか。偶発的なのか計画的なのか。
誘発された一連の事実の洗い出しを、昆虫の生態・特性を熟知する学者の見地から行うというのが、主な内容だ。
ときおり出てくるツールも、日用品であったり大げさな機器であったり多様的なもので、使いどころが実に面白く物語を盛り上げてくれる。ゆるふわの名に違わず、頑なでも柔らかい作品に仕上がっています。
また見に来ます。ではお疲れ様です。