第13話 破天剣 《デメンションソード》
「<
<青騎士>は
慌てて<青騎士>は剣をかわそうとしたが、左手もごっそり消滅する。
「おいおい、冗談だろう? 何なんだ!」
だが、<
<青騎士>はなおも後退するが、両足も持っていかれ、だるま状態になってしまう。
最後は脱出ポットで緊急離脱するしかなかった。
「ちっ、覚えてろよ……」
捨てゼリフは一見、強気だが、あまりの力量差に語尾が震えている。
<
「さて、どうしますか、システィーナ様?」
天工精霊ルナが涼しい顔で訊いてくる。
エメラルドグリーンの髪と双眸が揺れる。
「無論、シルバーソードの救援に向かうわ。"エデン"は後で奪還しましょう。アイヴィー、ワープで直行して」
システィーナは指示を出す。
「了解です。システィーナ様」
天工精霊アイヴィーはソードシップ≪アポクリュフォン≫を長距離ワープさせた。
†
「海馬が暴れるという表現は的確だな」
コーシ・ムーンサイトは痛い頭を軽く叩きながら意識をはっきりさせた。
超急速睡眠学習というものをやったはずだが、全く意識の上では記憶が残っていない。
これで大丈夫なんだろうか?
おそらく、無意識的に身体が動くとか、必要になったら記憶が蘇るとか、ご都合主義なことになるんだろうと思う。
「天工精霊のエルで~す。お目覚めになりましたか?」
青い瞳をした黒髪の二枚
「おう、目は覚めたが、そろそろ戦場かな?」
「はい、まもなく、到着ですよ」
紅い目の妖精エルザがサブモニターに映る。
まもなく、ソードシップ≪クリムゾンソード≫がワープアウトした。
そこには左手、左翼が大破した
あれほど圧倒的な強さを見せていた機体だったが、
ソードシップ≪クリムゾンソード≫の上部甲板が開く。
真紅の機体、胸には太陽と十二枚の翼が重ねられた、天軍総司令官の大天使長ミカエルの称号が輝く。
(システィーナ様!)
フェアリー隊の天軍の天使たちが目を輝かす。
天軍の戦闘時専用回線で通信している。
(申し訳ない。システィーナじゃないんだ。彼女もそのうち来るが、コーシ・ムーンサイトという者だ)
(ええ! コーシ隊長? 死んだんじゃないんですか?)
今度はリー・ファ・リーをはじめ、≪白き魔女≫フェアリー隊の面々が驚く。
(まあ、一度、死んだんだけど……話が長くなるので省略だ。フェアリー、なかなか苦戦してるようだな)
(―――あなた、また、死にに来たの? まったく………)
フェアリーの胸に万感の想いが去来する。
(待たせたな。もう大丈夫だ)
相変わらず、死地でも軽口を叩く男である。
肩の荷がすっと軽くなるフェアリーであった。
そこにいるだけで、もう大丈夫だという気になる不思議な男である。
それがコーシ・ムーンサイトという将であった。
魔導天使~グノーシスの黙示録~ 坂崎文明 @s_f
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