貴重な砂糖をたっぷり入れて飲む紅茶と、こだわりのお菓子を楽しめる喫茶「のばら」。そこへ訪れる様々なお客たちの物語と、合間に挿しこまれる店主夫妻の謎多き過去が絶妙なバランスで、なんとも不思議な読後感がある。最近はやりのほっこりあったかな人情ものと見せかけておいて、実は隠し味にシリアスな愛憎劇が仕込まれている…のかな?今後の展開によってまだまだ評価の変わりそうな作品。
今のところは、料理文化の壁を描いた『ミント茶に砂糖』が一番好き。フランスでココアを頼んだら角砂糖がついてきてびっくりしたのを思い出した。ただ単に美味しそうな料理の描写を並べているだけでなく、お客さんがそれぞれに持っている食事へのこだわりについて描いているところがこの作品の素晴らしいところ。美味しい料理だって、食べる人によっては口に合わないことだってある。けれどそれもまた料理の楽しみ方なのだと改めて気づかされた。
次はどんな料理が出てくるのかな。ああ、「のばら」に行きたくなってきた!
亡国の元女王とその旦那さんになった元軍人さん夫妻が取り仕切る「のばら」が舞台の群像劇
喫茶「のばら」の奥さんの美しさで喫茶店のドアをくぐり、美味しいお茶とお菓子に舌鼓を打ち……、お腹も心も幸せで温かくなるお話。
作者様の言うように、紅茶を片手に、出来れば焼き菓子的なものを用意して、読むのをオススメします。
夜に読むとお菓子が食べたくなります(笑)
ストーリー毎にメインのお客さんは変わりますが、冒頭での急展開の理由は徐々に回収されていく様子。
話の軸になる夫婦と、喫茶の従業員たちとのやりとりも魅力的。
「もっとイチャイチャして良いんですよ」に激しく同意です。
最後まで安定のほっこり感、孫の顔が早くみたいです。