タグにはありますが、よくあるラノベの古典的な異世界転生やハーレムでは決して無い(あくまで私の偏見)ので、『異世界ファンタジーが読みたいけど、ベタな転生モノやちょっとエッチなハーレムモノは見たくないなー』という方、是非ご一読することをお勧めします!
引き込まれてしまう、魅力的で力強いファンタジー世界。
何も分からない状態から始める魔法の習得・追求。
そして、私が一番心奪われたのは、やはり登場人物たち。
姿も言葉も概念も、そして生きる時間も違う登場人物たちは、本当に存在しているかの如くリアルで身近に感じました。
登場人物達の生きていける時間が全く違うという点、それによる苦悩も、この作品を更に魅力的なものにしているのでは……と、個人的に思いました。
石之宮カント様の、この素晴らしいファンタジー作品に出会え、とても光栄に思います。
長文・乱文失礼しました。
異世界転生にありがちな、中世ヨーロッパの世界観をあえて避け、狩猟・採集の時代にフォーカスした、オリジナル性の高い作品です。
もしも文明の発達に魔法が関わっていたら?という「シミュレーションもの」としての完成度も高く、歴史的、文化人類学的に確かな考察に裏打ちされた、説得力のある物語展開が魅力です。
最初は毎日の食料の確保に精一杯で、教育や文化の醸成の余裕がなかった人類が、火魔法による栄養状態の改善や氷魔法によるナマモノの貯蔵を達成し、徐々に勢力を拡大していくあたりが個人的に大好きなくだりです。
魔法を技術として捉え、魔法への理解を深める過程を描いているのもこの作品の特徴で、そこも考察が捗って素晴らしい。
魔法の発達の過程を追体験できるので、なぜ言葉による詠唱が必要なのか?なぜ魔法陣という概念が発達したのか?という理由に非常に納得します。
言霊思想やイデア論なんかも知ってると、より楽しめる内容になっていると思います。
あくまでイチ考察厨としての意見ですが、一口で3度くらい美味しい作品です!!