第27話「わたしメリーさん……梅干しを甘くする奴は地獄に落ちるべきだと思うの」


「メリーよ。なろうテンプレに詳しい、貴様に訪ねよう」

「なにをよ?」


 リリアン魔法女学園の廊下を歩きながら、冥子が言うのだ。


「次のなろうテンプレだ。学園編における、次のテンプレ展開を教えろ」

「ないわよ」

「なんだとっ?」

「学園編はテンプレ展開に組み込みにくいの。前に「学園編はエタフラグ」と説明したでしょ? 学園という敷地と学生という身分に囚われる学園編は、やることがなくなると同時に糞ゴミな退屈展開になりがちなのよ。それに、なろう小説で『まともに完結している』作品は少ないわ。たいていは途中で迷走と停滞をした挙句、何も終わってないのに強引に完結させられるか、完結すらせず更新が途絶えるか、とにかくクソ以下の余韻しか残らない、ロクでもない終わり方をする確率が異様に高いの。何の計画性もないワナビが、何の計画性もなく書き始めて、何の感動もなく息絶える作品――それが、なろう小説のテンプレなのよ!」

「そうか。ならば、決まりだな」

「なにを……?」

「なろうテンプレ通りに行動する俺は――」

「ごくり……」

「なろうテンプレに従って、学園編を『エタる』ことを宣言する!」

「はぁ? あんたマジで言ってるのっ!?」

「マジだ。大マジだぞ。ちょうど10万文字を超えたことだしな」

「10万文字って、なによ?」

「貴様には関係のないことだ。というわけで、学園編がエタれば、俺が女の子でいる必要もなくなるな」

「ええ、そうだけど……」


 ニヤッと、冥子がイヤラシイ笑みを浮かべた。

 愉悦で歪みきった視線の先には、メリーさんの股間があった。


 ジリジリと、後ずさりするメリーさん。

 九條冥子は、パンツを脱ぎながら言うのだ。 


「メリー! 貴様に預けた男性器を返してもらうぞ!」

「こんなとこで嫌ぁぁぁ!!」



 その後。

 性別詐称で魔法女学園を退学処分になった、九條冥介とメリーさん。

 涙目で「あなた達が退学したら、私はまた一人ぼっちになっちゃいます!」と食い下がるメリッサに。

 ニヤニヤと笑みを浮かべる冥介は、


「メリッサよ。俺は貴様に「戦友とも」と言ったな」

「はい!」

「あれは嘘だ」

「ふぇぇぇぇぇぇ~~~ん!!!」


 ドSすぎる、別れの言葉を告げていた。

 王城に帰還する途中、メリーさんは冥介に尋ねるのだ。


「で、これからどーすんのよ?」

「クククッ、なろうテンプレがクソであることは、これまでの行動を通して十分喧伝したからな。そろそろ良いだろう。次の展開に移行する!」

「ほんと唐突なエタ展開ね……で、今度はどんなカオスが待ってるのよ?」

「それは――」


 冥介が、今後の予定を話し始める。

 メリーさんが呆れながら耳を傾ける中、これにて第二章はおしまい!

 なんとか10万文字を超えたしね。


 幻想電子な最恐双姫をスマートフォンで鳴動召喚する物語は――

 もしかしたら、まだまだ続くかも!?

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幻想電子な最恐双姫をスマートフォンで鳴動召喚! ~もしもしメリーさん? 異世界にトリップした俺だけど、米袋20kg届けてくれない? あと、おやつの『オレオ』も頼むわ!~ 相上おかき @aiueokaki

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