二章

第2幕1部 陰口の渦

何とも、居心地の悪い教室だった。

その渦中にいるのは私。

外見が貧乏くさい、男に媚びている。


よく、言われたものだ。

もう、慣れていると思ったが痛みがある。


「なんであいつ学校来たの?」

「病院行ってから?おっかしいなー、来るなって言ったのにねぇ。」

「怪我したとか嘘でしょ、普通に歩けてるじゃん」

「あれ、サポーター着けてるけどさ、意味なくない?」


怪我、去年の夏の終わりに私は怪我をした。

体育の時間に転んで、右膝を脱臼していたようだったが、近くのクリニックで診てもらったところ、湿布で痛みは治ると診断された・・・まあ、誤診を受けたという事だ。

大きい病院で診てもらったところ、反復性右膝脱臼と診断された。脱臼し靭帯が伸びたようで、私の場合、手術の必要があると話されたが流石に長期休み以外学校を休むのは怖かったので、装具を着けて過ごしていた。

今年の夏休みに入院することになっているが、なぜ何も知らない人達に嘘だと決めつけられなければいけないのか。


「あと1時限で終わるねぇ、早く帰りたいなぁ」


今は昼休み、その最中に私が来たものだからこうやって、自分の席で黙って陰口を聞いている。あと1時限で終わるところで来たからあいつはずるいだとか話している。


私は皆が大嫌いだ。


早く卒業したい、でも結局ここで休んでしまっては卒業なんて出来ない。


だから我慢した。

こんな奴らには負けたくなかった。

私も同じように人を傷付けて楽しんでいた頃はある。

やっと痛みを知った。痛みを知ったけど、あいつらにはもっと酷い目に遭ってほしい。と、何度も願った。


予鈴が鳴り、皆が授業の準備を始める。


やっと陰口の渦から解放された。

それでも、この心のモヤモヤした部分はどうしても拭いきれない。

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片隅世界 水星 佑香 @Mizuh0si_Ryuu

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