第6話
僕の目の前には、姉ちゃんと見知らぬ女性がいる。その女性は僕に話しかけてきたが、僕が言葉に詰まっていたので、姉ちゃんに話しかけた。
「あの、私、喜和子の親友で高島裕子と言います。喜和子はどうなりました?」
「喜和子さんなら、釈放されているはずですよ。真犯人が捕まったので」
だから、何で姉ちゃんがそんな事を知っているんだ?
「本当ですか!?真犯人は誰なんです?」
「それは……」
さすがに、友人の姉が真犯人とは言えないか。
「貴子さんですよ」
え?それ、言っていいのか?それ以前に、何で姉ちゃんが知っているんだ?
「嘘……どうして……」
「流石に、そこまではわかりません」
「そう、ですか……」
高島さんは目に涙を浮かべ、その場を去って行った。
「姉ちゃん、そう言う言い方、しなくても……」
「え?何か、変な事言った?」
ここに来てから、姉ちゃんの様子がおかしい。姉ちゃんは気の使える人間だ。
平然と真犯人の名前を明かすなんて、あり得ない。それも親友に伝えるなんて、おかしい。
「姉ちゃん、ここに来てから、おかしくなってない?」
「え?何処が?」
気付いていないのか、気付いていないフリなのか、わからないが、僕は後者だと思った。
「恭介、もうすぐ日が暮れるから、ホテルに戻ろう」
そう言われ、僕は腕時計を見た。確かに、もうすぐ午後六時だった。
「うん。そうだね」
僕がその場を離れようとした時だった。
「恭介、靴紐、ほどけてる」
「あ、本当だ」
僕は靴紐を結び直す為、しゃがみこんだ。その時、何か途轍もない違和感を覚えた。
鏡鳴 @kiyoshi_t
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