第6話

つぎに目が覚めるとやはり世界はかわらず、しかし明るくなっていた。

「・・・・・・・やっぱり、夢じゃないのか・・・」

木々の隙間から木漏れ日が漏れ出ている。

正直、とても綺麗だ。

「ん・・・・・ふぁあぁ・・・おはよ、千里」

「おぅ」

颯斗はいまだ眠そうに目をこする。

もともと、低血圧の颯斗のことだ。体がだるくて仕方がないんだろう。

「少し休んだら行くか。」

「んぅ、りょぉかい・・・」







三十分ほど休んだ千里たちは、ゆっくりと東に向けて歩き出した。

今は朝。

太陽があるほうが、東だ。

木漏れ日の中をひたすら歩き、森を抜けようとする。が、あるけどあるけど森の出口は見つからない。

しかも、こういう時にかぎって、自分たちを呼んだ『声』の主は現れないし、声も聞こえない。

「ちさとぉ・・・・俺、つかれた・・・」

三時間ほど歩いただろうか。

颯斗がとうとう弱音を吐きだした。

それもそうだ。

千里と違い、颯斗の部活は美術部。

体力など皆無に等しいのだ。

まぁ、焦っても仕方がない。

「・・・・少しだけな」

「サンキュ」

ふぅ、と息をつき、草の上に座り込む。

心地よい風が2人の頬を撫でた。









何が正解で、何が間違いなのか。



それがこの時点でわかるほど、彼らは大人ではなかった。




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銀の髪と瑠璃色の瞳 紫紺 @hikagehiyori

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