第2話
その肉片を、切り裂いた。曖昧なテルミヌス。その境界の最中に私は朝の夢遊を見た。私の憎らしい人。スプラッシュ。血しぶきは喜ばしいかのように盛大に私を迎える。肉片は私に汚らしい体液を浴びせる。声もない 。
目も当てられないその惨状は夢だった、私の愚稚な想像であった。
しばらくして、水墨画のきはのない大版に色味がさした。血の、滑らかな滑り、乾いたあと手にまとわりつく生臭さ。不思議と手を洗う気はしなかった。動物、動物と人間は根源的に何の差もない。それが分かると、自然にあの肉片に対し同胞への普遍的親愛が芽生えたように感じた。その大判のわずか一部、端に、一際白い円が浮かべられている。見事な白だ。人差し指の離れに連なるピンクの官能。朝夕の一時の優美な官能、言語筆記の追随を許さない絶対的感動。私はずっうとここにいたい。
メモ @momo_oca23
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