第3話 オジサンと謎解き
「今の現状を理解するとね?ここはオジサマの心の中に相当する場所だと思うの。」
黒髪美人のシェリーそう言った。
「ここが心の中だって?」
椅子に腰掛けながら自分の胸を見てみる。
「根拠を説明しますね?閃光のはともかく私はかなりの魔術や理術を修めました。その過程で魔力量が人の枠を超えた結果、寿命が意味をなさなくなりました。しかしそもそもの死というものは乗り越えれませんでした。だから、あの時に私は閃光と相打ちとなり死んだはずでした」
どこから取り出したかわからないがいつの間にか手元にあったお茶のセットを飲みながらこともなげにそう話す。
「仲よさそうに見えるけれど?殺しあったの?」
驚きのあまり交互に見比べつつ聞いてみる。
「そうですのオジサマ。閃光のは勇者、私は魔王ということになっておりました。まぁこの辺の話は置いといて、ここからが問題ですわ。」
そう言うと目の前に手を差し出した。
「いいですか、見ていてください。」
貪欲のがそう言うと、いきなり手から上半身にかけて複雑な紋様が走り背中から翼が生えた。
「おー?何してんの貪欲の。すごい!カッコイイ!」
その様子をみてアズナはキャッキャとはしゃぎながら手を叩く。
「いったいどうゆうこと?なんかすごく神々しいんだけど?」
黒翼の天使というものがいたらこのような姿であろう。思わず見とれていると貪欲が喋りだした。
「この姿は精霊ですね。原種の精霊ではこのような姿で皆の前に現れると聞いています。そして、これが答えです。」
そう言うと精霊化を解き椅子に座り直した。
「「全くわかりません!」」
2人の声がハモる。
「でしょうね?そもそもお互い人の身でありながら、死んだはずの現世で急に意識を取り戻すことはありえません。ですが、様々な要素が絡み合った場合精霊化、死霊化、神化することで現世に再び現れることが可能であると聞いたことがあります。」
そう言うと優雅にお茶を啜る。非常に絵になる。
「なるほどなぁ。てことはここは君たち精霊と契約するためにある精神空間というか、現世とは違う空間ということか。」
「お話が早くて助かりますわオジサマ。でももうすでに契約は済んでおりますの。意識を取り戻した段階でわかりましたわ。」
貪欲はにっこりと微笑みながらそう言う。
そう言われて自分の内側に意識を向けると、先程感じた新しい何かが目覚める感覚がより身近に感じれるようになった。
そして、再び2人と話そうとした瞬間に意識が遠くなり視界が暗転する。
遠くに2人の優しい声を聞いた気がするが、次に目を開けた時はまた再び先程の神殿だった。
盛大な音を響かせながら防具や武器、骸骨が地面に転がった。
このことから先程の時間はこちら側では一瞬にも満たなかったようであると推測できた。
「ふむ、もっと話したかったが・・・。何だろうこの懐かしい感じは。涙が止まらない・・・」
意識を取り戻した時に自然と頬を涙が伝っていた。何故かはわからないが、涙が止まらない。そのまま私は涙を止めることもなく半ば灰となっているガイコツを丁寧に弔ってあげることにした。
オジサンと七人の小人 きみまけ さや @meliu
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