第2話オジサンと美女が2人

一瞬のことだったので瞬きすらできなかった。

オジサンは再び先ほどとは違うところにいた。真っ白な空間である。

もうおじさんワケガワカラナイヨと深く深呼吸していると、周辺の空気が変わった。何かが生まれるというか、現れるような空間が揺らぐという感覚を確かに感じた。注意してその方向を見ると、片方には光を集めたような球体が、もう片方には闇を凝縮したような球体が生まれるところであった。


「・・・ちょっとオジサンはついていけないなぁ」


などとぼやいていると、光の球体が激しく光りだした。すわ、爆発かと思ったその時・・・。


綺麗な女の子が誕生した。

黒い方からも、グラマラスな女性が誕生した。


驚いて凝視していると不意に2人と目が合った。あまりの美人さんに思わず会釈する。ジェントルマンを気取っているが、心の中はもうわけわかめ状態である。それを気取らせないのは流石中年である。


「ーーーーーーー」

「ー!ーーー!」


黒い方のお嬢さんから歌のような何かが聞こえてきたが、全く理解できる言語ではない。だが、耳に優しい調だったので聴きこんでいると不意に頭に電気が走った。


「うを!いたぁ!」


叫んで頭を押さえるも一瞬で痛みがひく。


「大丈夫ですか?」


「心配性ね閃光の?大丈夫よ翻訳魔法を脳に刻み込んだだけだから大した負担じゃないわ?」


「普通は脳には魔法を直接刻むなんてことはしないでしょう!」


「私たち自身なぜこんな状況で会話ができているかもわからないのよ?それなら目の前の優しそうなオジサンに状況を聞く方が先でしょう?」


「貪欲の!それはわかっているわよ!」


いきなり目の前で口論が始まった。その口論も聞き取れることから、どうやら私は脳に直接翻訳魔法を刻み込まれたらしい。・・・べんりだなこれ。


「あーうん、お嬢さん方。僕はとりあえず大丈夫だから話を聞かせてくれるかな?先に自己紹介をしておこうか、僕の名前はケイト・サマーリバーという。以後お見知り置きを」


そう自己紹介すると、閃光と言われた方のお嬢さんが元気よく手を挙げた。はい、そちらのお嬢さん。


「私の名前はアズナ!姓はないです!」

元気にハイハイと手を挙げながら自己紹介してくれる。このお嬢さんは金髪のロングヘアーに引き締まった身体、背は小さいがものすごいポテンシャルを秘めているのが見てわかる。


「私の名前はシェリー・ワルドル。突然申し訳なかったですわねオジサマ。」

黒髪、グラマラスな体型の女性は自己紹介とともに優雅に一礼して見せた。

こちらのお嬢さんは内に秘めたエネルギーの爆弾のような印象を受けた。


「自己紹介をどうもありがとうアズナ嬢、シェリー嬢。さて突然の質問で申し訳ないんだがこの場所はどこかわかるかな?さっきまで私は神殿のようなところにいたはずなんだけどねぇ。」

頭をかきながらお嬢さんたちに問いかける。


「はい!」

アズナ嬢が元気よく手を挙げるので、ここはノリを合わす。


「はい、ではアズナさん!」

勢いよく指をさしながら指名する。


「わかりません!」

ものすごい笑顔でサムズアップしながらアズナ嬢がそう答える。


「だよねー!多分君からはそういう答えが返ってくると思ってました!」

こちらもサムズアップで返しながら満面の笑みで答える。


そんなやり取りをしながらノリノリに2人でイエェーイとかハイタッチを交わす。

なんだろうこの子、面白い。適応力半端ない。


「閃光の?バカは黙っててちょうだい?」

涼しい顔でツッコミを入れながらシェリー嬢が指を動かしながら空中に何かの陣を書く。

完成したと思われた瞬間に真っ黒の椅子とテーブルが現れる。


「とりあえず、みなさんおかけになって話したらどうかしら?」

優しい笑顔で着席を促し、自らも着席した。


「さて、閃光の?ケイトオジサマ?今の状況に関してある程度推測が立ちましたのでご説明させていただきく思いますわ?」

真剣な眼差しでこちらを見ながら優しい声音で語り出した。

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