有資格者の責務

 2級の試験に受かった連絡を会社から受けて横山教育部長から資格書の申請用紙を受け取った。どうやら合格証明書を警察署の生活安全課に自分で出向いて資格申請しないと合格したとはいえないらしい。合格証明書だけでは正式に資格を所有していることにならないらしい。しかも本人がわざわざ警察に出向かなきゃいけない煩わしさ、忙しいなら時間すらとれない。横山教育部長は必要な書類を教えてくれて1日で効率よく申請できるように計らってくれた。休みをいただき住所地のある警察署の生活安全課に合格証明書と申請書類を提出した。だいたい2週間後くらいに資格者証ができあがるらしく、また連絡きたら仕事をやすまなけりゃならない。煩わしい………

 申請が終わり会社に連絡を入れたら横山教育部長から会社にくるように呼び出された。取り立てて別に用事はなかったので私服のまま会社に行った。ホントは休みなんにと思いつつ………

 会社に入るとお約束のごとく横山教育部長のいる研修室に通された。一般隊員ですら安易に入ることのできない研修室の奥にある部長のデスクと応接間に通されたのは初めてだ。部長からいわれ応接間のソファーに腰かける。しばらくして事務員さんが書類を持って入ってきて、その後に大柄な男性が入ってきた。その男性はまりこを見るや否や 歓迎してくれた。その男性はこの会社の支社長らしく初めて会ったのにも関わらすまりこを褒め称えてくれた。事務員さんが持ってきた書類は雇用契約書でまりこの給料が上がるための更新必要書類の記入をさせるための呼び出しだった。女性隊員で唯一の資格者の誕生に支社長含め全員から歓迎された。書類を書き終えひと段落ついた時、横山教育部長が口を開いた。2級警備員にとっての役割と責務についてのビデオを見せられた。過度の期待を背負られた気がしたが当時のまりこは資格者になったことで新たな視野とこれからの展望に胸膨らませていたので、気にも止めなかった。それからというものまりこは会社の策略にハマったかの如く、一人現場を任されることが多くなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

警備員まりこ日記 なつみかん @marix

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る