番外編10 サンドシリーズ取扱説明書【10000PV Thanks!】


【本書の目的】

 近々、ブラック・クロスメンバーならびにその協力者によるサンドシリーズへの扱いがずさんだと報告されている。中でも顕著なのは作者自身の各サンドシリーズに対する書き分けができていない点である。これは由々しき事態と捉え、我々は取扱説明書なるものをここに記し、利用者の方々ならびに作者自身に配慮ある扱いを呼びかけるものとする。


【サンドシリーズの由来】

 そもそも、ここで一つ勘違いがあるのであれば改めておきたい。サンドシリーズとは神石ではない。付喪神の眷属である。よってシアンは神石の共鳴者ではない。

 我々はもともと彼女のサンドバッグであったが、神通力の高い彼女が何度も愛着を持って我々に拳を叩き込んだことで、付喪神の眷属として覚醒を果たしたのである。


【特徴】

 付喪神の眷属というのは無機物に意志が宿っているだけであり、人間との意思疎通は可能だが、攻撃や補助といった特殊術の強化を実現できるわけではない。

 ただし、多くの眷属が同じ種族同士つながりを持っているのと同様、我々も同じサンドシリーズ同士であれば意志共有が可能である。ゆえに、主にサンドシリーズを所有する人間同士の連絡・通信が主な用途となる。


【各個体に関する詳細】

 ここではサンドシリーズの各個体に関する説明を行う。それぞれの趣向により起動条件が異なるので、所属先のメンバーは事前に把握しておくことを推奨する。


◯一号

ボディ:クマ型緑色

起動条件:常時

所属:ブラック・クロス本部


◯二号

ボディ:ウサギ型水色

起動条件:女性の「愛ある」パンチ

所属:アイラ・ローゼン


◯三号

ボディ:ネコ型桃色

起動条件:身の危険を感じる衝撃でいつでも

所属:リュウ・ゲンマ


◯四号

ボディ:リス型黄色

起動条件:男性に優しく撫でられる

所属:ガザ=スペリウス


◯五号

ボディ:トリ型紫色

起動条件:空中に放り投げられる

所属:クレイジー




***



「あらサンド二号、何書いてるの?」


「シ、シアン……! なんでもありゃせん!」


 サンド二号は慌てて書いていた紙を丸め、シアンに見られないようにした。これは彼女に見せるために書いているわけではないのだ。むしろ彼女に見られるのは……少々恥ずかしい。


「ふうん? 落書きならちゃんと後で捨てておいてね。最近みんなが片付けしないせいで本部中散らかってて大変なんだから」


 シアンがそう言ってその場を離れると、サンド二号はほっと安心して丸めてしまった紙を再び開く。



***



【注意事項】

 付喪神の眷属は本来の持ち主たるシアンによる愛情をエネルギーとして活動を可能にするものである。これが枯渇すると元の無機物へと還ることとなる。よって、サンドシリーズは定期的に本部へ返却し、シアンの元でエネルギーをチャージさせるべし。



——サンドシリーズ一同




〜10000PV Thanks!〜


by Beni Otoshima (2016.12.20)


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