小学生の頃に読破した星新一のショートショートに始まり、推理もの、サスペンス、ミステリー系の本を読み漁っていた過去。
最近すっかり読書から離れ、もっぱらCSでアメリカのドラマを観るばかりになっていたのだが、この小説は「読むことの面白さ」を思い出させてくれた。
わたしの中で、小説の良し悪しを決める最大のポイントは、「脳内で映像化されるか」である。
ホンファの1日は、見事に脳内で映像化されたのだ。
ハリケーンを操るという設定もだが、まさか気象研究所が舞台になるとは!
そして、大好物のアメリカの諜報機関の名前がずらり。いやー、こりゃおもしろい。
骨組みがしっかりしていて、登場人物もそれぞれ個性があり、ひとつの話の中に何本も伏線が張られ、交わるような交わらないような、それでいてきちんと時間軸があり、何度行ったり戻ったりしながら読んだか!笑
脳で映像化される小説は、わたしの中では最上級です。
これは日本でなく、アメリカでぜひドラマ化してほしいです。日本だとサスペンス色と人間模様の細やかな表現ばかりが強くなり、骨格の部分が薄まる気がして。
映画でもいいな。見応えのある作品になると思います。
ちなみにわたしの考えたキャストは以下。
萩生田/渡辺謙
アイリーン/マギーQ
氷村/堺雅人かオダギリジョー
下村/香川照之
マイヤーズ/ダニエルクレイグ
吉松/加瀬亮
三田村/堤真一
大杉/遠藤憲一
FOXさん、ドラマ化してもらえませんか?
【完結前】
しっかり固まった現実的、リアルな世界観と、現実的には考えられないような“奇想”ががっぷり四つに組み合い、この先の展開が待ち遠しくなる。
小説としては粗書きレベルかもしれませんが、それは筆者プロフィールや執筆の経緯を見て納得。もちろんそれがあっても、続きを読みたい気持ちに変わりはありません。
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【完結後】
期待を裏切らないスケールの大きな、“知”で渡り合う冒険小説でした。自分にもこのスケール感が備わっていればなあ、と羨むばかりの壮大さです。
その後の「あとがき」テキストも見れば、さらに大きな世界がこの後にも広がっているようで、楽しみも広がります。惜しむらくは、その「今後」とも絡んで作中で解き明かされなかった「謎」の積み残しですが、その残念さを晴らすためにも、ぜひ続編の執筆も期待したいところです。
楽しい物語をありがとうございました。