第2話 ハクチョウ
翠琴の様子が、家を出てからおかしかった。
ただ、それが俺に関わりのないことだと思う。
だって、翠琴が俺に関することを考えてるときは何となくわかるから。
きっとこんなことを考えているのだろう。
すぐに予想がつく。
「おはよ~ダイちゃん♡」
佐藤がいつものように話しかけてくる。
佐藤は俺が好きというより、俺が可哀想と思っているのだろう。
翠琴は佐藤が話しかけてくるとだまる。まるで佐藤は俺しか呼んでいないように。だが、最初は佐藤は翠琴を含めて、台と読んでいた。翠琴がなにを勘違いしてるのかは知らないが。
「ダイじゃなくて、ウテナだっ!!」
「そんな事言わないでよ〜ダイちゃ〜ん」
「…………………」
個人的に佐藤は嫌いではない。
佐藤は何もしゃべらない翠琴に一瞬心配そうに目を向けると、そのまま同じ部活の人の元へいってしまった。
カバンを片付けると同時にチャイムが鳴り、席に着く。
普段。俺達は教師がなにか話してる間、本を読んでいるのだが、翠琴はなにもせず、ただ机を眺めていた。
恐いっつーの(笑)
など思いつつ、俺は本を読んでいた。
1時間目数学A。
お互いの得意教科、翠琴はめノートも移さず何か悩んでる様子
2時間目体育。
体動かすの好きなくせに、体操服忘れたと嘘をついて授業をサボったご様子。
3時間目……………
…………
明らかにおかしかった。
俺以外の目を見ようとしない。
だが、なにもきいて欲しくなさそうだったので何も聞かずに、そっとしておいた。
帰るときは、俺しかいないからか、普段と変わらないようだった。
少しホッと思い、雨の中の赤信号を2人で何も喋らずに立っていた。
すると、背中に何かがぶつかった。
ぶつかってしまったのではなく、ぶつかられた。
転びはしないが、思わず数歩前へ。
遅くながれる時間の中、横目で翠琴を見ようとする。翠琴はきっと、後ろで焦った表情を浮かべているのだろう。一瞬の間にそんな事を思っていたのだろう、横に翠琴がいた時は本当に驚いたのだから。
翠琴はフラフラと前に出ながら、転びそうになっている。
そして、車道に出ている俺達を容赦なく跳ねようとしている、大型トラック。
翠琴がいるべきであった俺のこと後ろには、顔お真っ青にした、後輩と思われる2人。
たしか、佐藤の部活の奴だったなぁ、
などと思っていたら、俺の視界は一瞬で何も見えなくなった。
異世界でのチート双子の人間関係 @Nnyy02141028
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