ダガードの人がどれだけ神子を大切に思っているか。

邪神の大陸の対岸にあって、魔獣被害がもっとも激しかった国。
おそらく、貴族、騎士は常に魔獣との戦いの前面にいて、民を守ってきたのでしょうね。
そして何人もの貴族当主や騎士たちが、若くして死んでいったのだろうと思います。
国が出来る以前から、何百年も。
ダガードの貴族にとって、父親という物は母親の話の中だけの存在だったかもしれません。

神子は邪神を封印し、謂わば貴族たち、騎士たちの永年の仇を取ってくれた事になります。
それだけでなくダガードの民も多く死んでいたでしょうから、民の仇もですね。

邪神の大陸に乗り込む時、多くのダガードの貴族、騎士たちが同行したいと願ったでしょう。
多分、かなりのダガードの貴族、騎士たちが身分を偽って、神子の盾になろうと出発する港に行った事でしょう。
そこで彼らは目にしたはずです。
たった二人で邪神の大陸に向かう黒髪の可憐な少女を。

どれだけその少女に感謝した事か。
どれだけその少女に尽くしたいと願った事か。
多分、神子様が望めば、いや望んでなくても全てを捧げたいと思っていても不思議ではないと思います。
貴族、騎士たちだけではないでしょう。
全てのダガード国民がそう思っていると思う。
ダガードの人間で、親族を魔獣に殺された事のない人などいないでしょうから。

感謝を押しつける事を神子様が望んでいないでしょうから、態度には出さないかもしれないけど。
何かの拍子にあふれ出てきそうだな、と思います。

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砦の神子様

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