第17話悪夢の1日~真由美の証言~
由香里の次に英二に襲撃された真由美は、武川の聴取に対し、こう証言した。
「男とやり取りを交わしている時…男が鞄から斧を取り出したのを見て…今までにない恐怖を感じました…私達は…想像以上の酷い目に遭わされるかも知れないと思い…一斉に男を押し倒して…そこから逃げ出しました…しかし…男は…すぐ起き上がり…私達を追い掛けて来ました…その時…由香里が転んでしまったんです…由香里が起き上がろうとしていた時…男が追い付いて…由香里は…捕まってしまいました…その後は…まさしく地獄でした…由香里が…男に顔を平手打ちされ…倒れこんだのを見て…あの新聞の写真みたいに…あの斧で顔を…ズタズタに切り裂かれしまうと…思いました…しかし…実際には…それ以上の地獄が訪れました…男は…もう1つ…鞄を持っていて…その中に…手錠が入ってました…由香里は…抵抗出来ない様…その手錠で…頭上で両手首を…固定されてしまったんです…それから…由香里は…起き上がらされると…今度は…斧で髪をバッサリ切られてしまいました…ただ…新聞みたいに…顔をズタズタにされるだけだと思ったら…そこまでされるなんて…想像さえもしませんでした…由香里を助けたくても…恐怖で…足がすくんで…しまいました…やがて…由香里は…仰向けに押し倒されると…男が…大声を張り上げた後…ついに斧で…顔を切り裂かれてしまいました…何度も…顔を切り裂かれてしまう由香里の姿を…ただ…茫然と…見続ける事しか…出来ませんでした…やがて…男が手を止め…改めて…由香里の顔を見た私は…ただ…悲鳴を上げるだけでなく…失神しそうに…なりました…ズタズタに切り裂かれしまった…由香里の顔は…溢れ出た血で…顔全体が赤く染まって…すっかり顔が…分からなくなってしまってました…その上…ただでさえ顔が…分からなくなってしまってるのに…髪もバッサリ…切られてしまってるので…余計…由香里本人なのか…分からなくなってしまってました…更に…残酷に思えたのは…由香里の両手首です…由香里の両手首は…頭上でしっかり…手錠で固定されて…しまってるので…顔を隠す事も…出来ずにいたので…余計…悲しくなしました…」
ここまで、真由美の話を聞いて、武川も改めて、フェイスキラー・英二に怒りを感じた。身勝手な理由で、そこまで女の子に想像以上の危害を加えるなんて、とても、普通の人間がする事ではないと思った。真由美の驚愕的な証言は、更に続いた。
「由香里は…血を吐きつつ…咳き込みながら…私達の方に…顔を向けると…苦しそうに…「私に構わず…ここから逃げて…」と…必死に声を…絞り出しました…しかし…こんなに苦しんでる…由香里を残して…とても逃げる気には…なれませんでしたし…第一…足が思う様に…動きませんでした…そんな私達を尻目に…男は…またしても…信じられない…行動に出ました…男は…由香里に再び近付き…大声を張り上げた後…なんと血で赤く染まっている…由香里の顔を…平手打ちしたんです…それも…血で手が…汚れるのも構わず…左右…1発ずつです…」
その証言を聞いた武川は、ますます英二に怒りを感じた。警部の田中が、由香里の証言を聞いた時は、状況からして、顔を平手打ちされたと察したのだが、真由美が実際に、由香里が平手打ちされたのを目にしたのを聞いて、より、英二が、悪魔に思えた。
そして、話は、真由美本人が襲撃されたところに及んだ。
「由香里が平手打ちされ…更に苦しんでいるのを見て…私の心に…男に対する…怒りが込み上げて…来ました…すると…今まで動かなくなっていた…足が…動く様になりました…私は…駄目元で…「止めて…」と…叫びながら…男に…突進しました…しかし…すんなり交わされ…男に平手打ちされ…由香里の横に…倒れ込んでしまいました…私は…男に「この尼…」と…罵られ…由香里と同じ様に…頭上で両手首を…手錠で固定されて…しまいました…そして…「俺に立ち向かった…勇気だけでも…誉めてやろう…」と…言われた後、私の髪も、斧でバッサリ…切られてしまいました…その後…「今から…お前の顔も…この小娘と…同じ様にしてやる…」と言われ…ついに私の顔も…ズタズタに…切り裂かれて…しまいました…私の顔からは…容赦なく…血が溢れ出て…血が目の中にも入り込んで…目が…見えなくなって…しまいました…そのうち…口の中にも…血が…入り込んでしまい…喉に入りそうになる度…咳き込み続けました…そして…耳元から…「安心しな…お前の顔も…この小娘と…同じ事を…してやるからな…」と…声が…聞こえたかと思うと…私も…平手打ち…されたらしく…両頬に…痛みが…走りました…その後は…恐怖のどん底でしか…ありませんでした…男の罵声と…香織達の悲鳴が…耳元に伝わり…ついに香織達も…手錠を掛けられ…髪を切られ…顔をズタズタに…されてしまったと…悟りました…あとは…早く楽にさせて欲しいと…願うばかりでした…しかし…全然…願いは…叶いませんでした…再び…男の気配が…感じたと思うと…再び…平手打ち…されたらしく…両頬に…痛みが…走りました…更には…三度…男の気配を感じ…無理矢理…起き上がらされたと思うと…今度は…顔全体に…痛みが走りました…解くに…鼻の痛みが強く…声にならない…悲鳴を上げてしまいました…」
この証言を聞いて、正直、武川は、彼女達が生きている事が、不思議に思えた。これだけの危害を加えられても、命を落とさなかった事が、奇跡に思えた。真由美の証言は続いた。
「顔をズタズタに…切り裂かれた痛みに…鼻の激しい…痛みが加わり…私の意識が…徐々に薄れていくのを…感じました…正直…このまま…死なせて欲しいとも…思いました…そんな気持ちをよそに…ついに男も…止めを刺す行動に…出るのを感じました…まずは…由香里が先に…殺される気配を…感じました…次に殺されるのは…恐らく私だろうと…思いました…そう思うと…血で覆われた目から…涙が溢れるのを…感じました…父や母…そして…本来は一緒にいる筈の…早苗の顔が思い浮かぶと…心の中で…「早苗…」と…呟きました…その時です…男の罵声が…耳に伝わった直後…女の叫び声が…聞こえました…早苗の声でした…正直…夢かと思いました…でも…現実だと受け止めたくて…早苗の顔を見たくて…必死に目を…開けようとしました…しかし…目に大量の血が…入ってしまっていて…目を開ける事が…出来ませんでした…それでも…早苗の顔を見たくて…早苗と由香里の…話が終わったのを見計らって…声を…絞り出しました…「早苗…何処なの…何処に居るの…」と…早苗の…「真由美…私は此処よ…」と…聞こえた方に…顔を向け…必死に…目を開けようと…しましたが…やはり…目を開ける事が出来ず…「駄目…早苗の顔を…見たくても…目が…目が見えない…」と…言わざるを得ませんでした…それから…何で早苗が…こんなに早く…来てくれたのかと…考えながら…早苗と…香織達のやりとりを…聞いていたら…ふいに早苗が…「由香里…」と…叫び声を…上げたんです…幸い…由香里は…生きててくれたんですが…正直…この時点では…由香里は…死んでしまったと…思いました…この後…早苗の…叫び声を上げていた様ですが…この後は…覚えていません…気が付いたら…ベッドの上に…居ました…」
フェイスキラー ~顔を失った美女達…~ @t_k_s
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