安楽椅子探偵と呼ばれるジャンル、大好きです。
凄惨な現場で証拠を血眼になって探す、あるいは直接犯罪現場に居合わす
ことが基本、無いことになっています。
寄り集まった場所でなんやかんや話しているうちに、参加者の一人が謎を解き明かすという。ブラックウィドワーズとかが好きな人には楽しめるかも。
犯行現場や犯人の心情を細かく書く必要がないので楽かと言えばそうではなく、読者を引き込む現実感のある会話力がなくてはなりません。書くのには相当の力量が要求されます。その点、この作品群は合格点と言えましょう。騙りと語りが好きな方は読んで損はない。
連作で、各作品はおおよそ一万字程度の短編ですが内容は濃く、一本で長編が書ける内容をギュッと圧縮している作品もあります。中には削ったサブエピソード(?)を感じさせる記述もあったりして、カクヨム向けに短くまとめようとされたご苦労が忍ばれます。
私は条件明示が揃ったと感じた時点で一旦読むのをやめ、あれこれ推理して楽しみました。あたかも登場人物たちと同席しているかのように。
……この作品にはそれだけの没入感を促す力があるのです。
秋の夜長のひととき、コットンカフェのテーブルで一癖も二癖もある面々と一緒に推理を楽しんでみませんか。
湘南のとあるカフェに集う、姓名鑑定士の主人公とその仲間たち、そして、「ペット探偵」が数々の事件の謎を解き明かす、連作短編形式のライトなミステリです。
集まる仲間は、カフェオーナー(テキトー)、No.1キャバ嬢(ただしすっぴん)、姓名鑑定士(半居候)、ペット探偵(空気読む気無い)と、個性派ぞろい。そして、持ち込まれる謎も、密室!因習!愛憎!館っぽい!双子!消失!と、ミステリ好き垂涎のフルコースです。
「この謎は天才的じゃない!」
お約束の決め台詞まで揃っています。
様々な謎を、「ペット探偵」ならではの着眼点やスキルを起点に解き明かす様をご堪能下さい。