【ガブリエル・アルミニウスへ、エイブラハム・ヴァン・ヘルシングの手紙】


 一八八五年一二月二〇日


 このたびの冒険に、貴兄につきあってもらえてよかったと思っている。

 ご心配いただいた私の体調の方は問題ない。傷も癒えているし、いくらでも走り回れるだろう。貴兄こそもう若くはないのだから注意するように。

 送っていただいた記録類については、おおよそこの通りだろうと思う。公表しないというのが皆の意見の一致するところだそうだが、私も賛成だ。あの事件については、世間の耳目を無意味にそばだてる必要はないだろう。

 そちらのオリジナルは貴兄が保管し、送っていただいた写しは私が保管することにしよう。

 フロレスク伯やそのご家族も、シャトーペール隊長も、あの悪夢を忘れて平穏に生きていけるように祈っている。

 最後になったが、貴兄のご家族によろしく。優秀だというお孫さんには、いつか会ってみたい。


 あなたの忠実なる友、エイブラハム・ヴァン・ヘルシング教授


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ヴァン・ヘルシング教授の冒険 @shigechi17

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