それぞれの思いを抱えて、音楽に青春をかける青年たち。ストイックに音楽に打ち込む姿。それゆえにそこから生まれる苦悩。そしてやめていく者。それでも続けていく者。何故自分は音楽をするのか。永遠の問いですね、絵描きにしても、登山家にしても、ものかきにしても。サックス、ギター、ベース、ボーカル。それらの織り成す音が、確かな筆致で描かれていて本当に聴こえてくる気がしました。
まず音を小説で表現する力が素晴らしいです。小説では伝えにくい音を、巧みな文章力で想像させてくれます。青春を音楽に捧げた男女が、それぞれのストーリーを抱えて、葛藤しながらライブに望んでいくのか。各々の物語が見所のヒューマンドラマだと思います。