鍵探し、その途中で

 志崎とすれ違った後も、鍵探しは続く。

 ここまで私の中で既に鍵の存在が明らかになっているのは、2階の集合場所にもなっている部屋のまた横の部屋と、1階の出入口の扉。

 

 ただひたすら廊下を歩き続けたが、鍵は落ちていなかった。

 既に誰かが鍵を拾っていて、その誰かがそれを使える部屋を探しているのだろうか。


 そして私は休憩もせず、鍵の開いている部屋を探し始めた。


 まずは、2階の階段を左に曲がってすぐの部屋。

 その部屋のドアノブには、鍵を挿す部分が無かった。

 私は引くと開く事を確認し、その部屋の中へ入った。


 そこにはタンスと観葉植物、テーブルが置かれていた。

 テーブルには椅子も置かれていて、屋根には監視カメラも設置されている。

 鍵はこの部屋の中に隠されているのかもしれない。

 まず私は、タンスの引き出しを開ける。

 しかし、どの引き出しにも鍵はない。

 その代わりに見つかったものは―――――ワンダードリーマーの顔の写真をプリントして作った、マスクのようなものだった。

 左右の端には輪ゴムを入れるためか穴が開けられており、目の部分には穴が開いている。

 マスクというより、祭り等で見かけるお面と言った方が正しいか。

 私がテーブルの椅子を退けようした時、部屋に誰かが入ってきた。

「みんな大丈夫……って、あれ? 城藤さん?」

 君途だった。

『君途さんですか?』

 私は一度振り向いてから紙に文字を書き、それを君途に向ける。

「良かった……。 無事だったんだ」

 しかし、彼女の着ている制服はボロボロで血が付着していて、腕の傷からは血も出ていた。

『どうしました?』

「いや、ドアが開いているのも変かな、って思っただけ」

『そういう事じゃなくて』

「えっ?」

『制服に血が付いてますよ』

「こ、これは……"仕掛け"に殺されそうになって……」

 どういう事なのか。

 大椛が殺されたものと刃が本物なら、殺されていた機械以外にも存在するとは思っていたが、やはりそれが本当だったとでもいうのか。

『?』

『一体何が?』

「この部屋に向かっている途中になぜか刃物が飛び出してきて……」

 絶対嘘だ、嘘に決まっている。

 というのも、私が館中を回った時は、そんなものは出てこなかった。

 機械の事を指していたとしても、刃自体は偽物だった。

 それに、傷が無いはずの腹部に多量の血が付着しているというのも不自然だ。

 切りつけられた時、飛んだ血が服に付着して染みたとしても、時間が掛かるはず。

 こういった憶測から、まず一つの疑いが浮上した。

"この部屋に来るまでに別の人物と衝突し、殺し合いにまで発展した"と。

 だが、あの10人の中では、誰も凶器は持ってきていない様に見えた。

 まず私は、君途の話が本当かどうかを疑った。

『それは嘘ですよね? そんなものは無かったと思いますが』

「本当だよ!」

『まさか ここに来るまでに殺し合いになった、という事はないですよね?』

「えっ……?」

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ロスト・フリップME 城藤磨白と鮮血の日曜日 TNネイント @TomonariNakama

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