第5話 漂流

12月20日、 新たな職場から封筒が届いていた。ひょっとしてと思ったら、案の上自分の履歴書がこんにちは。僕って写真写り良いなあなんて、感心している場合ではない。不採用通知の日付けは16日、封筒の消印は18日。そして家に届いたのは20日。電話の一本でもくれたらいいのになんて思っても仕方がない。浪費した時間とお金は戻ってこない。

翌日どうしてすぐに職安に行かなかったのか記憶にないが、歩いて通える範囲で仕事を探すことにした。

まず隣町の学習塾を訪ねた。表向きには息子を通わせたいと話を切り出し、ついでを装おって講師は募集しているか尋ねてみた。履歴書は後日渡すことにして、講師歴、担当可能な学年・科目を聞かれた。とりあえず中学3年の小論文の添削の仕事をいただいた。本当に嬉しかった。

12月22日、職安で失業者になる儀式を受け、その後は一応仕事を検索したり職業訓練の説明を受けたりして、疲れて帰った。ただ明日から塾のバイトがあるので、少しは気が楽だった。

そして現在、年が明けて1月4日。年末から帰ってきてくれた娘のお陰で浴衣のお姉さんたちに慰めてもらう必要がなくなり、散財が止んだ。また、里帰りしてきた妹の息子、つまり甥との野球の練習でヘトヘトになり、遊び歩く時間も体力もなくなった。何より、小論文の添削が思いの他やり甲斐があり没頭できた。生徒とはまだ直接話していないが、塾長先生には大層褒めていただいた。生きてて良かったと思った。

1月8日に職安に出頭する。説明会に参加し、晴れて?失業者としての認定を受ける。いいのか悪いのか分からないが、一区切りつく。同日の夜、息子が家の近くの感じの良い塾に通い始める。次の就職のメドは立っていないが、心は穏やだ。

そうそう、昨年末から何度目かの禁酒中である。お陰で心身共にしゃんとしている。ちなみにアルコールの代わりはニコチンとカフェイン。タバコにはちょっと詳しくなったけど、その話はまた後日。今年は良いことがありそうな気がする、ということでおしまい。ありがとうございました。




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おじさんの12月 @keyinc

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