第二十六話・葉月の客将~ふふ、面白く、とても面白くなってきたようね~
「
「あらら、負けちゃったのね」
しかも大敗。タエガが居たにも関わらず、こんな結果になるとは思わなかった。少し、面白そうな事が起きたみたいだ。
連絡が送られてきた。どうやら、そのタエガからである。
「トヨ!トヨトヨ!面白い事になってきたぜ!」
タエガは私に飛びつく勢いで、画面上で飛び跳ねていた。実際この場に居たのなら飛びついていただろう。
「何があったのかしら?」
「すんげえ強い奴がいた!」
端的で分かりやすい報告である。まあ、その方が良いのだけど。
「後、トヨの言った通り、『
「はいはい、頑張ったわね」
「やった!トヨに褒められた」
タエガは組織内で一番私に懐いている。その感情を自らの原動力に変えているみたいなので、特別咎める事はない。だが、たまに少しだけ面倒な時もある。
「どんな子だった?」
「えっとな!白くて緑色で、ゴツゴツしてて、太刀振り回して、ブースターが生えてきて、腕が飛ぶんだぜ!」
要約すると、量産機ではなく、「
「あとな!全然悲鳴あげねえの!図太い神経してんだな」
どうやらパイロットのメンタルも優れているようだ。
「あーあ、こんな事になるなら俺の機体持って来れば良かった!持って来たらこの戦争がすぐ終わるだろうと思ったから、ハンデ付けたのに…それが裏目に出たあ!」
「もう、自分で言い出したんでしょう。この戦争が終わるまで、そのカスタム機で我慢しなさい」
「はーい」
会話しながら、今回の戦いのデータを組織に送る。きっとアエナならこのデータ上手く使ってくれるはず。
「トヨ、何してんの?」
「みんなに連絡」
「アエナもハジも来れば良かったのに。それにマレとカイも」
「アエナとハジはお留守番。マレとカイはお仕事。そう、決めたでしょう。文句ばかり言わない」
「ぶーぶー」
そう言って、タエガがふて腐れる。組織の中では、タエガが一番子供っぽい。こういう事はよくある。まあ、マレの方が子供っぽいのかもしれない。いや、あれは子供の振りをしているだけか。精神年齢は私と同じくらいだ。
「なあ、トヨは次の戦い来れるんだろ?」
「ふふ、それは『
「おお!楽しみに待ってるぜ!」
そう言ってタエガからの通信が切れる。入れ替わりで、新たな通信が入ってきた。どうやら今度は「
「よお、トヨ。同性の私から見ても、相も変わらず美しいな。美しい過ぎて怖いくらいだ」
「ふふ、それは褒めているのかしら」
「褒めているさ。私が男性だったら口説いていただろう。まあ、残念ながら私もお前も女性だ。私には同性を想う趣味はないからそうはしないがな」
私も同性に愛情を抱く人種ではない。アエナじゃないんだし。それでも、褒め言葉は素直に受け取っておこう。
「すまないが、お前の力を貸してはくれないか?どうやら敵は予想以上に強者のようだ。あの小娘といい、今回の指揮官といい、あそこは化け物の巣窟なのか?まあ、そんな訳でお前の力が必要だ。行ってくれか?」
「ふふ、その命令を待っていたくらいよ。行かせえ貰うわ」
どうやら予想通りの展開になったようだ。ふふ、これでタエガも喜ぶわ。
「あ、そうそう。聞きたいことがあるのだけど」
「ん、なんだ?」
タエガから送られてきたデータをお姫様に送る。
「この機体について知っている事があれば、教えて貰えない?機体自体でも、その中のパイロットでも」
「ふむ。これは、『
「
「ふふ、ふふふふふ、ふふふふふふふふふ」
笑いが、止まらなかった。そういえば、「
「どうした?」
「いえ、少し運命の様なものを感じただけですわ」
十二かぐや 黒乃 猫介 @kurono-nekosuke
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。十二かぐやの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます