第15話 お陰で今ではイケメンの彼氏ができました!
「あ、アリエルか? 今退院したよーエリンもいる?」
スクールズで気絶したリリアンはその後大事をとって一晩入院することになった。身体検査は異常なし。借家の大家には入居を拒否されてしまったため、これから荷物を引き取ってエリンとアリエルとは離れてカレッジに戻る予定だ。
ただ事情が事情であるためカレッジが大家とリリアンたちの間に入り交渉してくれた。アリエルとエリンは今までどおりの負担額で入居を許可されたと聞く。家賃が1人分安くなったわけだ。
「あ、エリンやっほー! 私の荷物さー……うん? 隆弘が?」
リリアンが電話をしたまま顔をあげる。病院の門の前に男が立っていた。
195cmの長身で、非常に男くさいがどこか中性的な顔立ちをした男。
「……隆弘」
「よう」
驚くリリアンに彼は軽く片手をあげて挨拶する。ちかくに止めてあった自転車の荷台を指差し、ジェスチャーでリリアンに乗れと言ってきた。
リリアンは大人しく荷台に腰を下ろす。
「迎えにきてくれたのかよーサンキュー隆弘」
「フン、手間ぁかけさせやがって。これから荷物取りに行って、このままカレッジいくぞ」
「隆弘も?」
「ああ。てめぇが心細いだろうからってカレッジが1年間半額で部屋使わせてくれるとさ。うちの借家も他の連中の家賃負担額は変らねぇ」
「まじで!? もうけー」
オックスフォードの町並みは相変わらず中世で時間が止まっているようだ。10月の少しだけ冷たい風を頬に受けながら、町並みとは反対にリリアンの時間は10歳のあの時から少しだけ動きだしていた。
ストーカーに本棚のエロ本見られた腐女子だけどなにか質問ある? うすしお @sigyn
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