第9話


10.エピローグ

 今日は千人はいるかな

 ほんと、笑ってしまった

 しかし、なーんで列にならばねばならぬのかー なんなんだろ、このトリートメントは。

一昔前と違い、決して自らを例外としないその世界のオトコ達のみでなく、どう見ても堅気の女性の姿も拝見かなう。才女の人気が一般化したなによりの表れであろう。

 今度の順番は、その千人の真ん中あたり

相変わらず通路では「後から並んだ連中」が最初に並んでいた管理人を整理する(笑)

 ここは古代の資本主義社会ー 資本契約者は割り込みする権利あり、と自らに言い聞かせ、静かに順番を待つ。

 そうさね、それでも召集から会場内、二十分はならんだか。厳重なカーテンの向こう、才女は居たー はは、SPだらけだわ。まー、前の殿方はこれまたすんごいプレゼント。実はこちらも早朝にもかかわらず花かごを抱えていた。この際、エチケットだしね。

 順番が来た。才女は相変わらず輝いていた。

「おひさしぶりです!」 顔を見るなり  「焼けましたね?」

そっか、いつも会っていたのは冬の時期だけだったっけ。

不思議だか、今までになくあちらからの積極的な話のニュアンスだ

ひょっとして、本当に懐かしいのだろうか? いやいや、そんなことはありゃしない

 笑いながら「しかしまぁ、えらいご出世で・・・・はなからかかわらせて頂いたこちらとしは、光栄ですよ」

これは、ほんと。ほんとに、ほんと。

「そんなこと、ないですよ」 と、ご謙遜。

襟を正して「え~某女優さんと、マドンナさんのサイトを閉じて、この春、管理人稼業をはれて引退致しました」

「それは、ご苦労様でした」なーんか妙な感じだ。ほんとにいたわってくれてるみたい。

「しかしまぁ、あなたがまさかあの憧れの"妖精"と組んで仕事をするとはね」

 実は才女、その春からその経済番組のアンカーとなり、なんと組んだのが、十数年来当該管理人が惚れ込んでいた"妖精"さながらの美人アナだったのだ。二人で並んだ写真を見たときはもう、笑った笑った!

「前から、言ってましたものね」にこやかに才女から・・・・昔から"妖精"のファンだって、公言してたもんね。しかし、覚えてくれていたのは嬉しいねぇ!

「あたかも私のサイトを参考にしてキャンティングしてくれた様で」いやなに、本心は"ぱくりやがって!"だけどー これが二十四世紀なら「公平審査委員会」に直訴すれば、どんなびんぼーな個人でも、アイディアは保護されるのにな・・・・まぁ二十一世紀じゃ、しょうがねぇや!

「プロデューサーによろしくお伝えを」と、妥協して。

「はい、わかりました」明るく伝えた才女は、皆と変わりなくこちらの手を握る

 だが今日は、なにか本当に懐かしそうだった ー 不遜?  うーん、本音ははわかるまいが、それでもう、いいじやないか。

 残ったミスは才女だけ。彼女だけは本当に幸せになって欲しい・・・・くれぐれも日本一のプレイボーイにつかまったりとか、しませんように・・・・はは! いにしえの二十一世紀とは言え、世の中いくらなんでもそこまで不公平じゃあ、ござんせんでしょう!



 思い起こせば、本当に不思議なことだらけだった・・・・

 そう、私は筆達管理人ー 支えたひとは必ず実を結ばせて見せます

 決して知られてはならない、闇の稼業の語り部だ

 それで今日はどこのどなたを応援せよと、おっしゃるんで?





                             

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