第2話「転校生」

間宮 和は、2学期の途中という中途半端な時期に転校してきた

「間宮 和です、皆さん仲良くしてください」

ニコリと、笑いながら自己紹介をした

「席は、神崎の隣だ。神崎、面倒見てやってくれ」

先生が私の隣を指差しながら言った

冗談でしょ・・何で私の隣なのよ

「分かりました」

内心悪態を吐きつつ、表面上は笑顔を作った

反抗せず、ただ淡々と付き合っていけば良いだけ

「よろしくねっ!神崎さん」

間宮和が隣の席に座りながら私を見た

「よろしく。間宮くん」

私はニコッと微笑んだ

「私は神崎 杏(カンザキ アンズ)。分からない事があったら聞いてね」

皆の前で先生に頼まれた以上、放置はできない

「本当?じゃあ、早速で悪いんだけど・・・」

申し訳なさそうな顔で間宮 和が言った

「校舎の案内頼める?早く覚えたくて・・・」

「それくらいなら、良いよ。放課後で良い?」

予想の範囲内だな・・定番だし

私は内心そう思いつつ、頷いた

「うん。ありがとう」

ニコリと間宮 和が笑った

「どういたしまして」

私もニコリと笑顔を作った

「ねぇねぇ!間宮くんってどこから来たの?」

「彼女いるの?」

「前の学校って、どんな所だったんだ?」

わらわらと、飴に集る蟻のように人が集まってきた

私は席を立ち、教室を出て行った


「もうっ!わらわら集まってうっとおしいっての!!」

別館にある、私だけしか知らない秘密の部屋で叫んだ

この別館にはほとんど人は立ち入らない為、静かで空気も冷えている

「転校生が珍しいのは分かるけど、集まってくるなっ!!邪魔なんだよっ」

イライラが治まらない時は、いつもここで叫んでいる

本館からは離れているし、窓も閉めているから外には聞こえない

つまり、最高のストレス発散場所だ

「・・・あの転校生には必要最低限関わらない様にしよう。あの性格が本当かどうかは分からないけど、すぐに馴染めそうだから私の出番もほとんどないだろう」

頭の中で、いかに穏便に平穏な日々を送るかを考えた

そんな事をグルグル考えていると、携帯が震えた

ポケットから出すと、幼馴染で何でも話してる結依(ユイ)からメールだった

『また別館に行ってるんでしょ?そろそろ、予鈴が鳴るよ』

多分教室に行って、私がいなかったからメールをしてくれたのだろう

「もうそんな時間か・・・」

結依に『了解、ありがとう』と返信して歩き出した

別館から本館まで、人が通らない道があるからいつもそこを使う

そうすれば人目につかず、行き来が出来る

「ふぅ・・少しは落ち着いた」

外のヒヤリとした空気を吸い込み、深呼吸した

「また仮面を被ることが出来る」

グッと拳を握って、教室へ戻った

「あっ、神崎さんお帰りなさい」

まだ間宮 和の席の周りは人で溢れていた

(うわ・・・最悪)

顔を顰めそうになったが、我慢した

「ただいま・・」

私は苦笑しながら、席に戻った















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「恋」という気持ち 柚月 心響 @shion-book

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