九条さんの過ごした日々には退屈と言う概念は存在しない。

球磨シュン

第1話 九条さん、入学ですよ。

この物語は、中学生の日常を書いたもので。決して女子高校生のイチャラブな話や、主人公が超能力で闘ったりする物語ではないので、それらが目的でこの小説を読みに来たのであれば、ここで読むのを辞めること強く推薦しておきますよ。


その日は雲ひとつない、俗に言う入学式日和だった。

学校までの道のりは、どこを見ても保護者と新入生ばかりだった、私もそんな新入生の一人な訳だが、周りとは少し違う。

周りは保護者と新入生、だが、私は一人だったのだ。

私にも勿論、母はいる。

父は居ないが、母はいるのだ!

なら、どうして居ない。

理由は簡単だ、母は学校の行事に積極的に参加する方じゃないのだ。

だが、決して入学式に来ない訳ではない。ただ周りの熱心な保護者の様に、席がどうとか、そういう事など考えない人なだけなのだ。


かと言って、入学式に一人で学校まで向かうのら私一人な訳はない。

当時は、私もそんなこと全く気にしていなかったのだ。重要なのは、学校に着いてからだった。

昇降口には、クラス分けの紙が貼られていて、その周りにはまるで生ゴミに集る小バエのように同級生となる新入生達が集まっていた。

そんな小バエみたいな新入生の後方から、私も自分のクラスを確認した。

自分のクラスのメンバーの名前を見ていって途中で気付いた。

「あれ、友達、居なくね!?」

かなり焦った、それと同時に思った

「俺の中学生活、大丈夫か...」

元々、友達が少なかった訳では無いのだ。

こんな状況になったのはおそらく、小学6年の時のクラスがたまたま、私のクラスだけやたら中学受験する人が多かったのが原因だ。

私が通っていた小学校は中学に上がる時に二つの学校に別れるので、仲が良かった友達と別の学校になるなんて事はざらにあるが、ここまでバラバラになったのは異例じゃないか?

そう、卒業の時は思っていたが、ここまで影響するとは思ってもいなかった。

ここで、私は決心して新しい友達を作ろうと試みたが大失態をおかしてしまった。

ちょっとした勘違いで、入学式前の説明に遅刻ギリギリで教室に入ったのだ。

遅刻ギリギリ、第一印象は最悪。

そのうえに私は自分に追い打ちをかけてしまったのだ。

「俺の席どこ?」

初対面の担任となる教師にいきなりタメ口で自分の席を訪ねてしまったのだ。

忘れもしない、その時私の方に向いた冷たい視線を。

そんなハプニングがあったがなんとか入学式を乗り切り、そんなこんなで私九条真の退屈しない中学校生活が幕を開けたのだった。

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九条さんの過ごした日々には退屈と言う概念は存在しない。 球磨シュン @s_s9029

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