技巧派バンドとしてメジャーデビューするも、売上不振で無職になった四人組バンドが、メキシコでの出会いをきっかけにメンバー増員して五人組覆面バンドとして再デビュー。
筋トレ、馬鹿話、乱闘、曲作り……いろいろな困難を乗り越えながら(自分で呼び寄せたものも含む)、全米No.1や東京ドームライブを目指すというお話。
山あり谷ありの音楽業界でのいろいろについて、
「あの時、こいつがこんなことを言ってこうなった」
「あいつがあんなこと言ったから、おれはこうした」
「美人社長のパンティーが見えた、色は……」
と、ものすごく話のうまい兄ちゃんから飲み屋で話を聞いているような形で進んでいくので、気がつけばマスク・ド・ファイブが好きになることでしょう。
音楽ものでいちばんむずかしいのは「盛り上がったライブ」をどのように表現するかだと思います。この作品では、デルフィンの主観にフォーカスして、エモーショナルな盛り上がりを表現して、「楽しそうなライブだな」「この人達にとってはこんな意味のあるライブだったんだ」と伝わるものになっているのがすごいなと思いました。
悲しくて切ないんだけど、笑えてくるような。笑いに振っておいて、泣かせにくるような。マスク・ド・ファイブの姿勢やマリエさんとの関係がしっかり話の芯になっていて、グッときます。
バンドの用語を半分ほどしか知らないのに、まるで自分がバンドの一員であるかのように入り込む。ちょっとコミカルで、だけどもほろりとさせるような音楽もの、職業もの。そう思っていました。
ものすごく感動しましたよ、前半は。素直に。
まだまだ読了に時間がかかりそうだから、取り敢えず途中だけれど、レビューさせていただきます。
前半の感動からどう展開するかと思いきや、中盤に入るとあれれ、ちょっと脈絡ない。その落差に困惑――、これが今の状態。
今は82話まで来たところで、まずは星★2つにさせてください。
個人的には、連作にして3冊書いた方が、良かったんじゃないかななんて思います。前半の62話くらいまでを膨らませて、長編一本にしていたら、間違いなく感動の星★3つで大満足で終わっていました。
でも、きっと作者はまとめて読ませたいのだろうな?
後半、この脈絡の無さが収束して、ヤラレタと思えることを願っています。最後に、でっかい感動が待っていることを期待しつつ……