概要
「妻は二階で寝ている」――そう笑う認知症の夫と、冷たくなった遺体。
訪問介護ヘルパーとして働く私が訪れたのは、重度の認知症を患う老夫婦の家。
玄関に出迎えた旦那は、いつもと変わらぬ笑顔で「妻は二階で寝ている」と告げる。
しかし、二階の寝室に横たわっていた奥さんの身体は、すでに冷たく固まっていた――。
119番の指示に従い、必死で胸部圧迫を続ける私。だがその背後から、焦点の合わない目をした旦那が近づいてきて……。
介護現場の不条理と現実を描く、実録サイコホラー短編。
玄関に出迎えた旦那は、いつもと変わらぬ笑顔で「妻は二階で寝ている」と告げる。
しかし、二階の寝室に横たわっていた奥さんの身体は、すでに冷たく固まっていた――。
119番の指示に従い、必死で胸部圧迫を続ける私。だがその背後から、焦点の合わない目をした旦那が近づいてきて……。
介護現場の不条理と現実を描く、実録サイコホラー短編。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!その笑みは病ゆえか、それとも──老人の瞳に宿る真実の寒気
介護現場のあまりに生々しい描写と、静寂の中に忍び寄る「真の恐怖」が見事に融合した心理ホラー。
本作の真骨頂は、主人公が出会う老人の言動が「認知症による認識の欠落」なのか、それとも「状況を理解した上での隠蔽」なのか、その境目が最後まで曖昧なまま提示される点にあります。リアルな臭覚・感覚描写によって読者の胃を締め上げつつ、人間の心が壊れていく過程と、壊れたふりをして潜む悪意のどちらとも取れる絶妙な恐怖を描き出しています。
日常の延長線上にある介護ビジネスの歪みと、人間の精神の底知れぬ暗がりを覗き込みたい方におすすめしたい、ゾワッとする短編です。