概要
末期がんで病床に伏す私から、夫は愛人を救うために血を採った
骨肉腫の末期だと告げられた日、私は病院の洗面所に一人で長いこと座っていた。がんはすでに肺へ転移している。積極的な治療を続けても望める時間は限られていて、身体への負担を抑えたいなら、痛みや苦しさを和らげながら過ごす方法もあると医師から説明された。
余命半年とは、はっきり言われなかった。
でも、分かった。
冬城市立がん医療センターを出たあと、駅前の小さな店で苺のショートケーキを一つ買った。急に玲司に会いたくなったからだ。自分がもうすぐ死ぬことを伝えたかったわけじゃない。ただ、十年以上そばにいて、六年間夫だった人に、ほんの十分だけ一緒にいてほしかった。
神代ホールディングスの本社へ行くと、玲司はオフィスで若い女性のためにハーブティーを淹れていた。相楽ひなの。グループ会社で働いてい
余命半年とは、はっきり言われなかった。
でも、分かった。
冬城市立がん医療センターを出たあと、駅前の小さな店で苺のショートケーキを一つ買った。急に玲司に会いたくなったからだ。自分がもうすぐ死ぬことを伝えたかったわけじゃない。ただ、十年以上そばにいて、六年間夫だった人に、ほんの十分だけ一緒にいてほしかった。
神代ホールディングスの本社へ行くと、玲司はオフィスで若い女性のためにハーブティーを淹れていた。相楽ひなの。グループ会社で働いてい
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