概要
嘘から始まった恋だった。けれど、好きになった私だけは、本当だった。
高校二年の夏。海辺の町に暮らす宮原蒼は、雨の夜のコインランドリーで、相沢凛と名乗る少女に百円を貸す。温かいココア、青い花、古い映画、海沿いの喫茶店。何気ない時間を重ねるうち、蒼は少しずつ彼女に惹かれていく。けれど、凛の名前も、町へ来た理由も、蒼に近づいた目的さえも嘘だった。父親たちをつなぐ過去の事故、盗まれた記録、そして「朝五時十分、駅で会おう」という最後の約束。待ち合わせに彼女は現れない。怒りと未練を抱えたまま二年が過ぎたある日、蒼のもとに一通の短いメールが届く。名前が嘘でも、出会いが仕組まれていても、あの夏に生まれた気持ちまで偽物だったのか。雨と海と一輪の青い花をめぐる、喪失のあとから始まる青春恋愛小説。
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