概要
言葉をなくしたあなたが、今日も花を持ってくる。
むかしむかし。人が空を飛ぶ鉄の鳥を走らせ、機械にお茶を淹れさせていたころのお話です。
ある町に、小さなカフェがありました。
店にはアルトという主人と、エルという給仕用アンドロイドが暮らしていました。アルトは口数の少ない男でしたが、エルが紅茶を運ぶたび、かならず「ありがとう」と言いました。
けれど、灰の降る夜に世界はこわれました。人は屍となり、町は草にのみこまれ、アルトもまた帰らぬ人となりました。
それから十一年。
エルは誰もいないカフェを掃除し、動かない時計を巻き、帰らない主人の席にぬるいお茶を置きつづけました。
ある朝、店の戸がきしみました。
入ってきたのは、灰色の肌をした、一体の屍です。
屍は言葉を話せません。ただ、崩れかけた指で一輪の花を差し出しました。
次の日も、その次の日
ある町に、小さなカフェがありました。
店にはアルトという主人と、エルという給仕用アンドロイドが暮らしていました。アルトは口数の少ない男でしたが、エルが紅茶を運ぶたび、かならず「ありがとう」と言いました。
けれど、灰の降る夜に世界はこわれました。人は屍となり、町は草にのみこまれ、アルトもまた帰らぬ人となりました。
それから十一年。
エルは誰もいないカフェを掃除し、動かない時計を巻き、帰らない主人の席にぬるいお茶を置きつづけました。
ある朝、店の戸がきしみました。
入ってきたのは、灰色の肌をした、一体の屍です。
屍は言葉を話せません。ただ、崩れかけた指で一輪の花を差し出しました。
次の日も、その次の日
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