概要
毒を与えられ試される聖者――刃を返さぬ祈りが天秤を傾ける
その「徳」は、生き残るための刃だった――。
狂える家族に虐げられ、不遇の少年期を過ごした舜(しゅん)。
父母の害意を察知するために研ぎ澄まされた過敏な五感と洞察力は、
やがて荒地を豊穣へと変え、民から「聖人」と崇められるほどの力となる。
だが、その静かな光は、最高権力者・堯王(ぎょうおう)の心に影を落とす。
王が与えた恩寵は、祝福か、それとも――毒か。
無私の聖者か、希代の謀略家か。
舜の前に置かれた天秤が、静かに揺れ始める。
狂える家族に虐げられ、不遇の少年期を過ごした舜(しゅん)。
父母の害意を察知するために研ぎ澄まされた過敏な五感と洞察力は、
やがて荒地を豊穣へと変え、民から「聖人」と崇められるほどの力となる。
だが、その静かな光は、最高権力者・堯王(ぎょうおう)の心に影を落とす。
王が与えた恩寵は、祝福か、それとも――毒か。
無私の聖者か、希代の謀略家か。
舜の前に置かれた天秤が、静かに揺れ始める。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「聖人」と呼ばれる前に、愛されたい子供がいた。
中国古代の舜と堯の伝承を、傷ついた人間の心理と、権力者の疑念から読み替えた短編です。
家族に虐げられながら、人々を助け、称賛されていく舜。その優れた洞察力がどこで育ち、何を願って働いているのかを描くことで、「徳」という言葉の奥にある痛みが見えてきます。
一方、舜を試す堯の視線にも、安易には同意できません。人の善良さを見極めるためなら、どこまで追い詰めてよいのか。聖人を測る王もまた、読者に測られているように感じました。
伝承の出来事に別の意味を与えることで、称賛や試練そのものを考え直させる作品です。舜の気高さに惹かれながら、その気高さを求める周囲の怖さも残りました。 - ★★★ Excellent!!!聖人政治の裏側には毒親の影があった
その少年は両親から迫害を受けており、飢えた愛情を取り戻すために人々に善意を振り撒こうとする。
人々はその姿に戸惑いながらも、やがて少年を信頼し、より多くの人が彼のもとに集うようになった。
老いた王は為政者としての冷徹な眼で、少年が野心を秘めた謀略家か無私の生者か見極めようとする。
少年の家族はあくまでも少年を認めず、かえって自分たちが辱められたとして、より強く少年に当たるのだった。
古代中国の堯舜伝説をモチーフに、個人の感情の揺らぎから聖者が生まれ、それでも変わらぬ現実を描く。何が救いか、何が苦悩か、何が幸せか。一筋縄ではいかないこの答えを真摯に問う。
心の機微を描いた純文学であり、伝説を…続きを読む