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概要
なぜ、機会はあったのに、悉く私は死ねなかった
母は病で死んだ——そういうことになっている。
だが十六の菊之介は、その前日に母の指が自分の頸にかかったことを知っている。「辛いのは、なかったことにされた人たちです」。それが母の最後の言葉だった。
六年後、菊之介は母の芸名を騙って新橋の花街に立っている。学生の身分を捨ててまで母の過去を掘り返そうとする彼を、かつて恋人だった士官候補生・黒河内が黙って見ている。
会津の遺児と、生まれを知らぬ芸者の子の恋と、生きる道。
だが十六の菊之介は、その前日に母の指が自分の頸にかかったことを知っている。「辛いのは、なかったことにされた人たちです」。それが母の最後の言葉だった。
六年後、菊之介は母の芸名を騙って新橋の花街に立っている。学生の身分を捨ててまで母の過去を掘り返そうとする彼を、かつて恋人だった士官候補生・黒河内が黙って見ている。
会津の遺児と、生まれを知らぬ芸者の子の恋と、生きる道。
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