概要
作者が過去一気合を入れて書いた、作者自身の“出身の街”を舞台にした一作
題名を少し変えました
長崎・諫早の堤防の先、潮が引くたび泥がむき出しになる干潟で、一本の“歩いた線”みたいな足跡を見つけた。普通なら満ち潮に撫で消されるはずなのに、それだけが昨日のまま残っている。しかも途中から、歩幅も角度も揃いすぎていて、人間が歩いた感じが薄れていく――まるで「ここを通れ」と誰かが規則で引いた道みたいに。
興味本位でスマホを向けた瞬間、画面の端にだけ白い手が映った。現実には何もいないのに、映像の中では“それ”が干潟を撫でて引っ込む。帰宅した夜、知らない番号から届く通知は短い一言だけ――「かえして」。タップすると履歴は空で、証拠ごと世界から消えたみたいに跡形もない。
翌日から、もっとおかしくなる。クラスメイトが友だちの名前を言い間違え、やがて“下の名前って何だっけ”と当たり前
長崎・諫早の堤防の先、潮が引くたび泥がむき出しになる干潟で、一本の“歩いた線”みたいな足跡を見つけた。普通なら満ち潮に撫で消されるはずなのに、それだけが昨日のまま残っている。しかも途中から、歩幅も角度も揃いすぎていて、人間が歩いた感じが薄れていく――まるで「ここを通れ」と誰かが規則で引いた道みたいに。
興味本位でスマホを向けた瞬間、画面の端にだけ白い手が映った。現実には何もいないのに、映像の中では“それ”が干潟を撫でて引っ込む。帰宅した夜、知らない番号から届く通知は短い一言だけ――「かえして」。タップすると履歴は空で、証拠ごと世界から消えたみたいに跡形もない。
翌日から、もっとおかしくなる。クラスメイトが友だちの名前を言い間違え、やがて“下の名前って何だっけ”と当たり前
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