概要
その櫛で、髪を梳いてはならぬ
昔、とある武家屋敷に、お染という美しい女が奉公していた。
なかでも評判だったのは、絹糸のように滑らかな長い黒髪。
ある日、屋敷の主人から美しい紅い櫛を贈られたお染は、それで毎晩髪を梳くようになる。
ところが、その櫛が忽然と姿を消した。
そして、その日の夜。
なくしたはずの櫛が、お染の鏡台の上に戻っていた。
何も知らないお染は、いつものように櫛を髪へ通す。
――ずるり。
それが、すべての始まりだった。
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