概要
いちばん強い獣ほど、眠る場所を知らない
「寝床係は廃止だ。神獣は眠らせない。ならば寝床も要るまい」
十七歳のフィアは、その日、職を失いました。
王宮の獣廏で藁を替えるだけの、いちばん下の係です。神獣を動かすのは御獣官さまのお仕事で、フィアは誰の役にも立ちません。剣も魔法も使えません。
ついでに言えば、フィアは生まれてから一度も眠ったことがありません。
だから夜番はいつも彼女で、三百年鳴り続けている〈覚鈴〉の音を、十七年ぶん聞いてきました。神獣を眠らせないための鈴です。
その日――新しい女王の戴冠式で、三百年眠っていない最古の神獣が錯乱しました。
騎士が飛び、魔導師が吹き飛び、石畳が割れて。
フィアは考えるより先に、その大きな頭の下へ、自分の膝を差し入れていました。
銀灰の巨獣は、まばたきを二回して。
十七歳のフィアは、その日、職を失いました。
王宮の獣廏で藁を替えるだけの、いちばん下の係です。神獣を動かすのは御獣官さまのお仕事で、フィアは誰の役にも立ちません。剣も魔法も使えません。
ついでに言えば、フィアは生まれてから一度も眠ったことがありません。
だから夜番はいつも彼女で、三百年鳴り続けている〈覚鈴〉の音を、十七年ぶん聞いてきました。神獣を眠らせないための鈴です。
その日――新しい女王の戴冠式で、三百年眠っていない最古の神獣が錯乱しました。
騎士が飛び、魔導師が吹き飛び、石畳が割れて。
フィアは考えるより先に、その大きな頭の下へ、自分の膝を差し入れていました。
銀灰の巨獣は、まばたきを二回して。
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