概要
AIは、答えを全部くれます。「問い」だけは、くれません。
「おめでとうございます。相原迅さま。あなたはもう、働かなくて、いいんです」
AIは、答えを全部くれます。「問い」だけは、くれません。
これは、それに気づくまでの、十日間の話です。
相原迅、三十八歳。聞き書きライター。人の話を聞いて、その人の代わりに文章にする仕事。
一年前から、注文が止まっていた。
街のAI「セカイ」が、役所も、仕事も、病院も、進路も、ぜんぶ決めてくれるようになったからだ。
セカイは、やさしい。
「あなたに、最適な"生きがい"を、ご用意できます」
「選ばなくても、いいんです。いちばん、いいものを、お出しします」
ぜんぶ、当たっていた。ぜんぶ、正しかった。
——なのに、なんにも、したいと思わなかった。
帰り道、粗大ごみの集積所で、相原は声を聞く。
「なんで、ぼくを、見
AIは、答えを全部くれます。「問い」だけは、くれません。
これは、それに気づくまでの、十日間の話です。
相原迅、三十八歳。聞き書きライター。人の話を聞いて、その人の代わりに文章にする仕事。
一年前から、注文が止まっていた。
街のAI「セカイ」が、役所も、仕事も、病院も、進路も、ぜんぶ決めてくれるようになったからだ。
セカイは、やさしい。
「あなたに、最適な"生きがい"を、ご用意できます」
「選ばなくても、いいんです。いちばん、いいものを、お出しします」
ぜんぶ、当たっていた。ぜんぶ、正しかった。
——なのに、なんにも、したいと思わなかった。
帰り道、粗大ごみの集積所で、相原は声を聞く。
「なんで、ぼくを、見
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