概要
この獣は、あと四十日で死ぬ。――だから、街ごと運ぶ。
世界は、歩く巨獣の背の上にある。地上は灰の海に沈み、人は獣の背にしか住めない。
だが獣にも寿命がある。獣が死ぬとき、街は丸ごと次の獣へ「渡る」しかない。その渡りを設計し、執り行う職人を――遷街師という。
トウヤは獣の余命が視える。触れれば、獣の胸で燃える生命の炉《熾》の残りが、数字になって落ちてくる。三年前、故郷の獣に「あと三年半」と告げた彼は、不吉な子として村を追われた。
流れ着いた獣・鉄嶺の背で、彼はまた同じものを視てしまう。余命四十日。組合の公示は「十年以上」。誰も信じない。
その夜、獣が最初の膝をついた。崩れた祠の下から現れたのは、記憶をなくした白い少女。腕には、獣の生命を意味する古い一文字が刻まれていた。
街をまるごと運ぶ大工事と、獣の最期を看取る作法。捨てるものを決める仕事と
だが獣にも寿命がある。獣が死ぬとき、街は丸ごと次の獣へ「渡る」しかない。その渡りを設計し、執り行う職人を――遷街師という。
トウヤは獣の余命が視える。触れれば、獣の胸で燃える生命の炉《熾》の残りが、数字になって落ちてくる。三年前、故郷の獣に「あと三年半」と告げた彼は、不吉な子として村を追われた。
流れ着いた獣・鉄嶺の背で、彼はまた同じものを視てしまう。余命四十日。組合の公示は「十年以上」。誰も信じない。
その夜、獣が最初の膝をついた。崩れた祠の下から現れたのは、記憶をなくした白い少女。腕には、獣の生命を意味する古い一文字が刻まれていた。
街をまるごと運ぶ大工事と、獣の最期を看取る作法。捨てるものを決める仕事と
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