概要
沈黙に耐えた者が王になる。耐えられなかった男が、石の番をしている。
王が死んだ。
丘の上で石の番をする男ケティルは、その角笛で兄の死を知った。
北の海に面した王国では、王は一夜の沈黙によって立つ。
満月の夜、候補は王の石にひとり座り、口を利かず、夜明けを待つ。
神々は何も言わない。夜が明けたこと自体が、答えとされる。
石に座るのは長子アウズン。生まれた晩に泣き声を上げた王子である。
王家の長子は、泣かずに生まれるはずだった。
満月までの十九日、様々な噂と人々が丘に登ってくる。
そして前夜、候補の王子がひとりで戸を叩く。
――教えてください。教えていただけることだけで、構いません。
四十年前に石の上で何があったのか、番は誰にも渡していない。
教えられるのは、夜の外側のことだけだ。
魔法は出ない。神は語らない。
一夜の沈黙と、呼ばれない名をめぐる、北
丘の上で石の番をする男ケティルは、その角笛で兄の死を知った。
北の海に面した王国では、王は一夜の沈黙によって立つ。
満月の夜、候補は王の石にひとり座り、口を利かず、夜明けを待つ。
神々は何も言わない。夜が明けたこと自体が、答えとされる。
石に座るのは長子アウズン。生まれた晩に泣き声を上げた王子である。
王家の長子は、泣かずに生まれるはずだった。
満月までの十九日、様々な噂と人々が丘に登ってくる。
そして前夜、候補の王子がひとりで戸を叩く。
――教えてください。教えていただけることだけで、構いません。
四十年前に石の上で何があったのか、番は誰にも渡していない。
教えられるのは、夜の外側のことだけだ。
魔法は出ない。神は語らない。
一夜の沈黙と、呼ばれない名をめぐる、北
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