少し覚悟して読む必要があります。ちょっとうっかりしていると、最後の衝撃が強いです。高校生の恋愛もののようですが、そこにその世代特有の苦悩や絶望が相まって、途中のきごちないデート描写や、「引き返すなら今だよ」とか「どこへでも行ける」という台詞、その意味が少しずつわかって来て、クライマックスに達する展開には、驚きと感動しかありません。今もラストのショックを引きずっています。こんな恐ろしい小説、久しぶりに読んだかも。おすすめはしませんが、レビューなのでおすすめします。私は読んでよかったと思っています。
生きることに全力で、周囲の空気を読みすぎて壊れてしまったヒロイン・紡月と、誰よりも彼女を見つめ続けた優月。二人の不器用な距離の縮まり方や遊園地デートのきらめきが丁寧に描かれるからこそ、終盤、海の冷たさへと向かう逃避行の純度が圧倒的な美しさを放ちます。「死を本番、それまでを準備」と捉える残酷な辻褄合わせに胸が締め付けられました。
もっと見る